#02ロールレタリング
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岡本茂樹 (2012). ロールレタリング──手紙を書く心理療法の理論と実践── 金子書房
本書紹介 from 金子書房HP
◆読者対象カウンセラー、臨床心理士、研究者など。◆
本書のポイント
・豊富な事例で、ロールレタリングとは何かがよくわかる。
・具体的な活用方法がわかりやすく書かれているので、すぐにでも面接に活かしたくなる。
心理面接の現場でロールレタリングを活かすために、臨床の実践から基礎理論と面接技法、さらには実践事例まで体系的にまとめた、経験豊富な著者による基本書。
本書概要
2019年12月14日に開催された講座で,ロールレタリングの手法を紹介しました。 その勉強のために読んだ書籍です。
本書(主に第1部)を要約すると以下です。
ロールレタリング(ローレタ)とは,「自分から相手へ」の手紙を書いたり,ときには相手の立場になって,「相手から自分へ」の手紙を書いたりするなかで,さまざまな思いや感情を書くことによって,自分自身だけでなく相手のことも理解し,人間関係が改善していく技法(p.15-16)です。ローレタは「感情の吐き出し」によって様々な効果が生まれます。たとえば,(1)カタルシス効果,(2)自己理解,(3)他者理解,(4)自己受容と他者受容,(5)自己表現力の向上,(6)認知と行動の変化,(7)性格の変化などがあります。ローレタに取り組むためには,「書こうという気持ち」「抱えている葛藤を解決したい意欲」「感情を吐き出すための後押しをしてくれる支援者の存在」が必要です。これらを前提として,ローレタを実際に実施する際には「自分の言いたいことを書ける範囲で書く」「できるだけ紙とペンを使う」「話し言葉で書く」「自分から相手への手紙が基本」であることが述べられています。そのほかにも第1章では,ロールレタリングが理論的背景として交流分析が挙げられます(ただ,個人的感想ですが,この理論的背景のせいでロールレタリングの信憑性が低下しているように感じました)。第2部は筆者が携わった実際の事例です。第3部は事例を振り返りながら第1章で説明したことを改めて紹介し,集団指導や矯正教育でロールレタリングを活用する際の心構えが述べられています。
日本発祥の心理療法であるロールレタリング。洗練させる必要があるとは感じるものの,可能性を感じる手法でした。筆記開示との違いなども気になるところです。
(以上はInstagramの再掲)
ページ数から見る著者の力点
本章は計10章あり,各章のページ数は以下のグラフの通りです。
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