フィンランド旅行記録 No.1
飛ぶ前の机上の不安はどこへやら
私はとても自他ともに認める神経質ゆえ基本眠りが浅く、平日でも休日でも5時とかに自然と目が覚めてしまう。幼き頃から体育大会や修学旅行、部活の合宿などなんかワクワクするイベントの前は基本眠れずに朝を迎えることもしばしば。
の割に睡眠不足が続くと体調がめっきり悪くなるため、今回の旅行においても睡眠管理は非常に重要なポイントのひとつだった。
まずは成田空港からヘルシンキまで約12時間ほどのフライトで、どれだけ眠れるかによってその後の旅の質に大きく影響が出る。いくら眠れないとはいえさすがに多少は休まなくては旅先での動きに影響が出てしまうことは必至。
読書や映画で時間をやり過ごすうちに眠くなるかな…
でももし眠れなかったらどうしよう…
と不安になっているうちに渡航前日の時点であまり眠れなかったりもした。眠れない不安を抱えて眠れないという負のスパイラルに陥ったまま、特段解決策はなく飛行機に飛び込むことに。(少しでも睡魔を呼び込めるようビールは飲んでおいたが)
ところがどっこい。
23時発のフィンエアーは思っていたよりも遥かに快適で、機内食も美味しく、なんならビールまで飲ませてくれたためなんのストレスも無く眠りにつくことができたのである。
しかも到着したのは早朝5時台。通常私が起きる時間とさして変わらないこともあって、ほとんど時差ボケもなく最高の気分で朝を迎えることに成功した私は、他の乗客が眠気に目を擦るのを横目にしたまま、スキップでフィンランドに足を踏み入れた。
ロマンある優しい朝日に包まれて
到着した途端に目に飛び込んできたのは光が差し込むエスカレーター。朝方の柔らかな空気に包まれたヴァンター空港は、現代的な意匠と機能を保ったデザインが印象的。降り立った後の玄関口こそ美しく保つべきだということなのか、これがスタンダードなのかはまだ分からないが、ただただ初めての光景に胸が躍った。
人の流れに従って歩いているものの、大半の乗客はヘルシンキ経由でヨーロッパ諸国を巡るらしく、途中で道が分かれたのとあまりにヘルシンキ行きの人数が少なくて普通に不安になったが、同じように不安そうに歩く恐らく日本の方を勝手に信じて着いていくと無事入国口へ。困った時は助け合いである。
入国審査も難なく切り抜け扉を開くと、木目の層のように放射円状に重ねられた天井や、天窓から差し込む光に照らされたエントランスがあまりに綺麗でしばらく呆然と立ち尽くす。どうやったらこんな吹き抜けの切り取り方ができるのだろうか。柵外のところどころにも岩を置いてみようと提案した人に拍手を送りたくなった。センス…
どことなく庵野を感じる地下の駅
そこからしばし空港を物色するもあまりに早朝すぎたためまだ店もまともに空いておらず、とりあえずヘルシンキ市街に向かうことに。
地下鉄に向かうエスカレーターがあまりに深くて、思わずエヴァかと一人つぶやく。無機質で厚みのあるRCにただただ囲まれる空間は現代的というか、近未来的な新世紀的な印象を受けた。
そして歩いていくとホームへ着いたのだが、なんと改札が無い(!)ので余計不安に。 下調べをしてこなかった自分を多少恨みながらホームに佇む日本人らしき方に尋ねてみると、ヘルシンキ市内の A〜Dまでのエリアのすべての電車、トラム、バスなど公共交通機関が乗り放題になるdayチケットがあるらしく、 買い方を教えてくれた。ありがたし。
ただタッチパネルの操作に若干手間取って一本電車を逃す。憧れの国であろうと電車を目の前で逃すことに普通にイライラしてしまって情けなかった。
今回は5dayチケット(33ユーロ)を購入。この後大活躍になるとは思っていなかった。 なんとか乗れたので安心。道中の車窓かは郊外から都市部に移る風景が飛び込んでくる。 家々や自生する植物、道の様子、走っている車など、やっぱり日本とは全然違う。 「フィンランドに来たのだな…」と改めて実感。
朝6時の柔らかな朝日に包まれた列車は乗客もまばらで、異国に来た心地よい違和感を楽しみつつ快適に過ごすことができた。(レイエスくらいデカい人が目の前に来た時には流石にちょっとビビった)
何かをやる前に湧き出る不安は、何かをした後では実は大したこと無かったなと気づくことの方が多い。
「いつかは行ければ…」と夢見た場所へ辿り着いた時点でこれまでにあった不安は楽しみへと変わっていて、気づけば興味の赴くままに足が進んでいる。目的地は定まっていなかったとしても、ワクワクが指し示す方向に歩いていくと何かしらの夢やロマンに出会えるのだと改めて気づくことができた。
初日の朝6時の時点で2000字…
1ヶ月経った今でもまだしっかり味がするってことはそれだけ印象深かったということで、堪忍してください。
次回はヘルシンキ市街のファーストインプレッションについて書いてみます。