【読書感想文#4-2】世界遺産ビジネスを読んで~後編~
皆様いかがお過ごしでしょうか?
前回から引き続き、以前世界遺産検定の勉強で
読んでいた本を皆様に紹介したいと思います。
ここからはマイスターの問題に繋がりそうな
トピックスをいくつか取り上げて深掘りしていきます。
以前模擬問題・答案の参考にした箇所を取り上げます。
【②世界遺産を巡る政治的な動き】
世界遺産マイスターの試験対策で、緊急的登録推薦や逆転登録の話は準備しておくことをお勧めします。
この本で書かれている話として、新規で世界遺産登録される際に各国がニュートラルな判断ができないことを指摘しております。
パレスチナの世界遺産である『イエス生誕の地:ベツレヘム生誕協会と順列路』の登録では、緊急的登録推薦の必要性を認めないという諮問機関の勧告が出ているにもかかわらず、イスラム教の委員国・中国・ロシアが支持にまわり、反対を主張するイスラエルに無条件でつくアメリカという対立構図のままでした。
そういう状況で委員国だった日本は困りました。当時のエネルギー事情ではアラブ諸国からの石油に多く依存していたので、明確な反対を主張できませんし、アメリカとの友好関係を考えてないといけない状況でした。
こうなると登録賛成・反対は新規で登録される遺産の価値や緊急性よりも政治的なポジションによる影響が大きい場合もあります。(もちろんすべてがこうしたケースではありませんが、中東の遺産の場合だと多いといえます。)
そうした場合の登録基準、完全性や真正性を満たしているかどうかの判断について意見をする諮問機関の意見を覆る判定が出ることもあるのです。
この本の中では諮問機関であるイコモスの限界についても触れられています。どういう方向性が良いのか?というのも意見としてまとめておくとよいと思います。
【③増え続ける世界遺産登録・推薦】
世界遺産の数が増えることで、世界遺産の価値が値崩れするという主張もあります。もちろん新規登録をストップことは政治的に無理だと思いますが、各国が既存の遺産の保護強化より新規登録に重きを置いている事実があります。
そうした場合、世界各国は世界遺産に登録する意味・意義に立ち返るべきだと思います。未来に残すべき価値を後世に伝えるための保護であるという世界遺産条約を価値基準として考えてほしいのです。
ただし世界遺産の登録や保護のやり方をよりよくしていくことは必要です。プレリミナリー・アセスメントとアップストリーム・プロセスの完全移行が2028年からで、そのやり方を理解する必要があります。
これによって紛争による緊急的登録推薦はどうなるのか?登録申請に時間と労力を要する影響は今後議論を生むでしょう。
【最後に】
いかがだったでしょうか?
なかなか正解のない問題について『意見・提案』を示すことがマイスター試験の第3問です。是非チャレンジしてほしいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。