「母とながめた一番星」の授業をつくってみた(5年「生命の尊さ」)
授業づくりの記録としてnoteにまとめ始めて4本目。
自分でもよく続いてるなぁと思います。
今まで感覚だったところを言語化する作業は、簡単ではないけれど楽しい気持ちもあります。
さて、今回は「母とながめた一番星」(Gakken 新版5)という教材で授業をつくっていきます。
前回この教材で扱う内容項目「生命の尊さ」について考えたことをまとめているので、そちらも併せて読んでいただけると嬉しいです。
では今回も最後までお付き合いください。
内容項目と教材について
今回扱う内容項目はD:主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること「生命の尊さ」です。
生命を尊重する心情や態度を育むには、生命の大切さ・価値について理解することが欠かせません。
大切だと思ってないものを尊重することはできないですよね。
生命の大切さ・価値の側面
ただ、生命の大切さ・価値にもいろいろな側面があります。
今回の教材では特に「家族や仲間とのつながりの中で共に生きることのすばらしさ」と「人間の誕生の喜びや死の重さ」という側面から生命の大切さ・価値について表現されていると読み取りました。(「 」内は学習指導要領解説 特別の教科道徳編から引用)
教材のあらすじ
「母とながめた一番星」の主人公は恵子という小学生の女の子。
冒頭では川の流れを見つめながら涙を流し、「いっそ、このまま死んでしまいたい」と考えています。
理由は仲がいいと思っていた友だちから無視されたことでした。
そんな恵子を心配して追いかけてきた恵子の母親が、恵子が生まれた時のことを語りかけます。
その話を聞いて恵子は「自分を大切にしたい」と思うようになる、というような内容です。
高学年の子どもたちは今までより友だち関係を重視するようになってきます。
「死んでしまいたい」とまで思うかどうかはわかりませんが、友だちから無視されるというこわさ、悲しさには共感しやすいのではないでしょうか。
この教材では主人公の考えの変化がわかりやすく描かれています。
「死んでしまいたい」→「自分を大切にしたい」と180度変わっていますよね。
その変化の理由を考えることが「家族や仲間とのつながりの中で共に生きることのすばらしさ」と「人間の誕生の喜びや死の重さ」を理解ことになるはずです。
授業の展開について
板書案は以下のようになりました。
板書は自分の中で課題…。
①導入
今回の授業の大枠は教材中に出てくる恵子の言葉「自分を大切にしたい」という言葉について考えることにしました。
導入で「今日のお話に出てくる主人公はこの女の子なんだけどね。お話の最後に『自分を大切にしたい』って言うんだ。みんなは『自分を大切にする』ってどういうことだと思う?」と問いかけます。
この発問への考えとして、
・好きなことをする
・自分らしくいる
・自分にやさしくする
などの言葉が出てくると予想しました。
あまりスッと答えが出てくるような問いではないかもしれません。
そこから「ちょっと難しいね。今日の授業の最後にはより納得できる答えを自分なりに出せるといいね」などと言って本時の問いにします。
また、範読する前に「『自分を大切にしたい』って最後に言うんだけど、最初は全然違うことを言ってるんだ。『死んでしまいたい』。ちょっとびっくりするよね。どうしてこんなにもガラッと考えが変わったんだろうね。理由を考えながら読んでみようか」と教材への関心を高めるようにします。
②展開前段
範読の後、すぐに中心発問に入ります。
「恵子の考えはどうして変わったんだろう?」
・苦労して産んでくれたことがわかった。
・大切にされていることがわかった。
などの考えが出されるだろうと考えます。
問い返しとしては
「お母さんだけに大切にされているんだね」
「『苦労した』のは誰?それってどんな苦労?」
「『深く愛されている』ってどういうことだろう?」
「『大切な希望』ってどういうことだろう?」
などを考えました。
後半の2つは少し難しい問い返しです。
すぐに答えは出てこないかもしれません。
けれどその意味をじっくり考えることも大事にしたいです。
それは、これらの言葉に「人間の誕生の喜びや死の重さ」という生命の大切さや価値が詰まっていると思うからです。
③展開後段
ここでは最初の問いにもう一度立ち返ります。
「『自分を大切にする』とは?」
きっと最初の頃にはなかった「家族や仲間とのつながりの中で共に生きていることのすばらしさ」や「人間の誕生の喜びや死の重さ」という視点をもとに自分の考えを紡ぐことができるのではないでしょうか。
もちろん簡単な問いではありませんので、友だちの考えなども手がかりに自分の納得できる答えを見つけていくことができるようにしたいです。
子どもたちの考えとして
・簡単に死のうとしない
・つらいことがあっても生き続ける
などが出てくることが予想されます。
それももちろん大事ですが、その根幹にある
「自分が家族に大切に思われていること」「支えられて生きていること」。
自分の命は自分だけで育っているのではく多くの命に支えられている。
だから、簡単に死を選択するのではなく生きようとし続けることが自分を大切にすることなんだ。
そんなところまで考えられるように掘り下げていくことで、「だから命は大切なんだ」という腹落ちした理解につながっていくのではないでしょうか。
④終末
最後に自己の生き方とつなげて自分の学びを振り返ります。
今回は「今日の学習から大切にしたいと思ったことはなにかな?」という問いで振り返るようにします。
おわりに
今回は主人公の変化がわかりやすく描かれていたので、変化の理由を考えるという展開にしました。
ただ自分がよくやるパターンでもあるので、別の展開を考えてみた方が学びになったのかもしれないなぁと思います。
今回も最後まで読んでくださってありがとうございました。
コメントで感想などをアウトプットしてもらえるとぼくの学びにもなりますのでよかったらお願いします。
ぶっく📚