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我家の裏にあった八百屋さん/昭和の暮し
「僕の昭和スケッチ」51枚目
<画/もりおゆう 原画/水彩 サイズF5>
あなたは、お母さんと一緒に近所の八百屋に行きませんでしたか?
少しあなたが大きくなるとお使いに行ったりしませんでしたか?
これは、まさしく昔どこにでもあった小さな八百屋の思い出です。
天井からはハエ取り紙が何本もぶら下がっていました。
隙間もない程に黒々とびっしりハエを捕まえたその様子が、子供心には何とも不気味で不衛生に感じられましたが、当時としては当たり前の光景でした。
店の柱には、伸縮自在に扱えるようにゴムで吊り下げた小銭の入ったザル…
壁には、そのままになった何年も前のカレンダー…
木の箱にどさりと入れられていた野菜…
(木の箱は長い間人々の生活物資の輸送に大活躍したのですが、木材価格の高騰と運搬の利便性によって瞬く間に経費の安い段ボールに推移していきました)
けれど、いつ行っても、いつまでも、そこに在るように思えたお店も、ふと気付くといつの間にか無くなり、人気ないコインパーキングが唯ポツンとそこにあったりします。
このお店も今はありません。
*日々の暮しは変わらないようですが、実はあっという間に目の前にあったものが遠い日のものに変わっていくのです。
僕らはいつも新しい日々を生きているのですが、時には立ち止まって失われてしまったものに想いを馳せる…そんな時間もね!
僕の昭和スケッチの51枚目に寄せて もりおゆう