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♬それでも音楽は聴いていた’70年代
「僕の昭和スケッチ」107枚目
<「それでも音楽は聴いていた」画/© 2021 もりおゆう 水彩/ガッシュ>
僕は21歳と言う若さで結婚した。
結婚したのは良いが、まだ絵で飯を喰えるはずもなく、バイトに明け暮れる日々が続いた。若かったせいか、さほど貧乏は気にならなかったが、それでも彼女を貧しさの中に置く事が辛い夜もあった。
そんな中でも、僕らは音楽だけは聞いていた。
上京する時に持って来たステレオも壊れ、音楽を聴くすべがラジオしかなくなると、小さなカセットデッキを買って来て当時流行っていたレンタルカセット店に通ったのを覚えている。懐かしい時代だ。
高校時代に大好きだったビートルズは、「Collection of Beatles Oldies」というヒットナンバーを集めたカセットテープ、サイモンとガーファンクルは「明日に架ける橋」の2枚組アルバムカセット。
もちろん、当時のヒットナンバーも聴いた。
当時、流行っていたのはデュランデュランとか、マイケルジャクソンの「スリラー」、邦楽ではサザン。
「KAMAKURA」(鎌倉)は切なくなる程良かった。
そのラジカセは安物で、聞いていると妙な雑音が入るのだが、それでも音楽をかけながら何とか絵の勉強だけは続けた。
人生で一番お金に縁の無かった時代にすぐ側にいてくれた音楽。
昭和の映画評論家「水野晴郎」さんのセリフではないが、、、
「いやぁ、音楽って本当にいいですね!」
<文と絵 © 2021 もりおゆう 禁無断転載 All rights reserved>