「暗い場所」昭和の町の下
「僕の昭和スケッチ」イラストエッセイ133枚目
昔、岐阜市内は柳ヶ瀬の街のすぐ脇に小さなどぶ川が流れていた。
繁華街の地下に流れ込むその川の暗渠の奥には全てのものを飲み込んでしまうような闇があり、入り口は鉄柵で閉じられていた。それは内部に浮浪者や子供が入って事件や事故など起きぬように設けられたものだった。けれど、僕らはこの真っ暗な闇の奥にはこの世の物ならぬ恐ろしい何かが棲んでいて、それが出て来られないように頑強な鉄柵で閉ざしてあるのだと噂した。
それを大人は笑ったが、鉄柵の向こうを覗き込んでいると闇の奥に何かの気配を感じる事が確かにあった。それは言うに言えないような幽かな気配だったが、、、、子供達や神経を病んでいるような者だけがそれを感じたのだった。
よほど怖かったのか、今でもその暗渠が夢に出てくる事がある。
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