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【取材記事】キャンパスライフの充実×放置自転車問題の解決=シェアサイクルサービス「COGOO」〜企業と学生団体による取り組み〜

株式会社ツナググループ・ホールディングスは、大阪大学、千葉大学、一橋大学のキャンパス内シェアサイクル「COGOO(コグー)」を運営する学生と共に、主に卒業生が放置していく自転車をシェアサイクルに転用する取り組みをしています。
「COGOO」は、大学で毎年発生する卒業生の放置自転車問題解決のため発足したサービスです。
運営責任者の大谷さんに、事業の沿革や今後の展望について伺いました。

お話を伺った方

株式会社ツナググループ・ホールディングス 大谷涼平(おおたにりょうへい)様
・2003年~2006年 日立電子サービス社、人材戦略部で主に賃金・労務の仕事に従事
・2006年~2014年 デロイトトーマツコンサルティング社、ヒューマンキャピタルグループで主に大手企業を対象とした人事制度の構築支援、組織再編に伴う組織・人材・業務の変革支援に従事
・2014年~ フリーランスのコンサルとして活動する傍ら、ツナググループの人事コンサルティングサービスおよびCOGOO事業に従事



■大学での利用に特化したシェアサイクルサービス

mySDG編集部:早速ですが、COGOOのお話を伺う前に、ツナググループホールディングス様の事業内容について教えてください。

大谷さん:採用代行、いわゆるRPOサービスやアプリを用いた定着支援(心と身体のコンディションを把握する「テガラみる」)サービスを主に運営しています。様々な切り口から採用・定着に関する領域で支援を提供している会社です。

mySDG編集部:そうなんですね。COGOOへ取り組むきっかけは何だったのでしょうか?

大谷さん:元々は弊社と懇意の別の会社さんがCOGOOを運営していたのですが、事業の選択と集中を検討される中で、撤退の対象になりかけていました。弊社代表の上林(かみばやし)がCOGOOの高い社会性と可能性に前々から注目していたこともあり、譲渡していただいたという経緯があります。弊社の事業とは直接関係のない領域ですが、社会課題の解決に貢献できること、学生を応援できることといった大義に加え、大学や大学生と繋がりを持つことを何らかの事業の広がりに発展させたいという狙いもあります。
現時点では、正直、収益化できていないのですが、持続可能な状態を早期に確立し、さらなる社会貢献やサービスの広がりに繋げたいと思っています。

mySDG編集部:以前運営されていた会社が撤退を決めた理由には、上手くいかないポイントなどあったのでしょうか?

大谷さん:自転車の車体に大手企業さんの広告を掲載していたこともあり、収益面での問題ではなかったと聞いています。
COGOOの他にも様々な事業を運営されている会社だったので、別事業に集中するため撤退を決められたようです。

mySDG編集部:なるほど。改めまして、COGOOについて教えていただけますか?

大谷さん:大学での利用に特化しているシェアサイクルサービスです。他社サービスとの違いは、無料で利用が可能、アプリで鍵の開け閉めができる点です。

mySDG編集部:元々は運営が用意する自転車のみ利用されていたんですよね?

大谷さん:はい。こちらで購入した車両を利用していました。元々は、卒業生が自転車を置いていってしまう課題解決のために発足したシェアサービスだったので、利用車両も新しいものを購入するのではなく放置される前に自転車を引き取り、COGOOに転用するほうがより課題解決に近づくと考え変更しました。

mySDG編集部:運営は学生さんが行っている認識でお間違い無いでしょうか?

大谷さん:そうです。現地に居て、課題を身近に感じられる学生たちが活動を主導しています。バックアップを弊社側が行っている状況です。

mySDG編集部:放置自転車の課題解決がビジネスになり、順調に運営されていてすごいです。

大谷さん:大きなビジネスではないのですが、大学に的を絞って広告が出せるということや社会性の部分で魅力を感じてもらい、大手企業の協賛があった時期は上手く進んでいました。ですが、大口の契約終了後、しばらくは資金難の時期が続き、実際には順調とも言えない状況が続いてきました。最近はようやく新しいスポンサーさんがついてくれるようになり、光が見えつつありますが、まだまだスポンサー探しは継続中です。

mySDG編集部:スポンサー探しに関して、どういった点が課題なのでしょうか?

大谷さん:企業の広報やマーケ部門の方は、アドテクの考え方・文脈で仕事を進められるので、どうしてもページビューやクリック数など数値化できる効果を求められます。仕方がないことなのですが、広告以外の部分の価値等を説明し、賛同してもらうのはとても難しいです。広告サービスとして捉える場合にも、日常的に学生の目に触れている効果等はなかなか説明しにくいですね。

mySDG編集部:そうなんですね。その点をふまえどのようにアピールされているんでしょうか?

大谷さん:最近は、広告としての効果で訴求するよりも、学生を応援したい、SDGsの観点で社会貢献したいと考えられている企業様を求めています。

■コロナによる打撃から回復

学生が自ら車両の塗装をしている

mySDG編集部:SDGsへの取り組みにおいての数値化、難しいですよね。一方で、数値でアピールできる点はあるのでしょうか?

大谷さん:コロナの影響でリモート授業を導入する大学が増えキャンパスに人がいない状況が長く続きましたが、最近は徐々に戻ってきています。それとともに自転車の利用回数も増えてきています。昨年はコロナの影響もあり、利用件数が300を下回る月も多かったのですが、先月は1500件以上の利用があった大学もありました。

mySDG編集部:すごいですね!コロナが落ち着いた影響が大きいとは思いますが、なにかアクションをされた結果なのでしょうか?

大谷さん:車両のメンテナンスを強化したり、SNSで広報したりするようになり、学生の好感度・認知度が上がったことが大きいかもしれません。

mySDG編集部:なるほど。学生にとってこのサービスを利用するメリットはどのような点なのでしょうか?

大谷さん:ユーザーにとっては無料で利用できる点です。キャンパスが広い大学でサービスを展開しているので、学内で遠くの建物へ移動する際に簡単に利用できる点もメリットだと思います。
また、サービス利用者ではないのですが、運営側の学生メンバーたちにとってのメリットも紹介しておくと、身近な課題を通じて、学生時代に疑似的なビジネス体験ができ、それが社会にインパクトを与えているという実感は大きいと思います。
実は、ちょうど先日、5月6日(金)にBS朝日さんでサービスをとりあげていただきました。自分が携わっている仕事がこうやって世の中に取り上げられるのは、きっと充足感・達成感のあることだと思います。これをきっかけにさらに認知が上がると良いなと思います。
〈youtube〉
ツナググループ・ホールディングス「みんなにやさしい便利な自転車」【つながる絵本~for SDGs~】#148

mySDG編集部:すごいです!番組や、こちらの記事を拝見した学生さんが運営に携わりたいとなった場合は参加可能なのでしょうか?

大谷さん:もちろんです。現在はサービスを展開している大阪大学、千葉大学、一橋大学や以前展開していた横浜国立大学の学生さんがメインですが、今後サービスを広げていく予定ですし、大歓迎です。「学生が自分たちの手でキャンパスライフの質を向上させていく」というコンセプトで活動しておりますので、シェアサイクルに限らず、地域とのコラボ企画など様々な活動を行っていければと思います。
今後は、今まで以上に学生主導の運営を強化していける環境を整えていきたいと思います。

mySDG編集部:今後が楽しみですね。ありがとうございました。


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