
№25【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『なんだか、とっても尊敬』
両親が庭先と、近所に畑を借りて家庭菜園を楽しんでいる。
今年はキュウリが豊作なのか、どんどんどんどん植え続けているのか。ありがたいことに最近スーパーで買うことがない。
昨日、母から連絡があり、こう言われた。
「数日家を空けるから水やりお願い。キュウリは好きなだけ持って帰っていいからね」
好きなだけ。
すでにわが家の冷蔵庫にも、デカいのが5~6本。
もう十分好きなだけあります。
でも、今日収穫したのも放置はできない。
わが家の野菜室は大金持ちならぬ、ちょっとしたキュウリ持ちになった。
ご近所にお裾分けと、思わなくはない。
でもこの時期、家庭菜園で作るものの代表格と言えば、キュウリとトマト。
「うちも育てているの。あるから大丈夫!」
とお断りされた。
ですよね~。
※
数年前、母がワタクシにこう言った。
「あんたも庭先でキュウリとトマトくらい育てたら? 子供たちも、きっと喜ぶよ」
ところが事件が起こった。
そこそこ、わが家でもキュウリとトマトが賄えはじめたころ。
「キュウリとトマト要らない?」
と母から電話がかかってきた。
「いま、わが家でも出来ているから要らないよ」
と答えたものの、母が困ったようにこう言った。
「うちもたくさんあるの。お父さんと二人だから食べきれないし。あんたの家4人だから食べられるでしょ? ご近所の方もみんなキュウリがいっぱいあまってるって。どうしよう」
こうして、ワタクシは家庭菜園をしない理由を手に入れた。
うけけ。
※
今日はキュウリを大量に収穫した後、スーパーに寄った。
ぬか床、浅漬け、キムチの素、漬物になりそうな酢、白出し、ドレッシング、シーチキン、すりごまに、ごま油。
あとは、どんな味付けがあるかな。
今年は、とことんキュウリと向かいあう年になりそう。
味つけに文句を言わず、スイカや野菜を味わうカブトムシ。
なんだか、とっても尊敬。

いいなと思ったら応援しよう!
