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乳幼児のうつ伏せが運動発達に与える影響 -乳幼児突然死症候群にも着目して-
今回参考にした論文はこちら↓
雑誌名:Developmental Medicine and Child Neurology
Impact Factor:4.864
※内容には個人的な見解や解釈が含まれます。ご理解の上ご覧ください。
睡眠時や遊びの姿勢、遊具の使用が乳幼児の発達に与える影響について
運動発達の力学的システム理論では、運動は、中枢神経系(脳や脊髄)の運動命令の階層だけでなく、
特定の条件下で多くの異なるサブシステムとの相互的な作用によって起こるとされている。
そのため、運動発達は、乳児の状態や環境に存在する様々な要因に依存すると考えられる。
約30年前、1992年に乳幼児突然死症候群(SIDS)が乳幼児のうつ伏せ寝と関連していることが指摘されてから、保護者は乳幼児を仰向けに寝かせるのが一般的
になった。
こちらもご参考までにご覧ください↓
一部の研究者の中では、うつ伏せ寝の姿勢が乳幼児の運動発達を遅らせているのではないかと懸念されている。
現に、Midredらが行った研究の中では、100人の保護者に対して、37%の方がSIDSに関する知識があるために、
うつ伏せ寝を取らない姿勢で遊べる環境を選択していた。
さらに、26%の保護者が、うつ伏せでの覚醒状態は、SIDSの危険因子ではないにも関わらず、「遊びのために乳児をうつ伏せにさせたことがない」と報告がされている。
乳児の体位を変化させることは、乳児の運動発達に重要であると考えられ、
特に腹這いは、頭部のコントロールと抗重力伸展活動(重力に抗する運動活動)に重要な発達であるとしている。
今回の研究論文で、「乳児の睡眠・遊びの姿勢と運動発達の関係性」について、以下の様にまとめられている。
1. 生産期の健康な乳児において、起きている時に腹ばいで過ごした乳児は、起きている時に腹ばいが制限された乳児と比べて、生後6ヶ月以内の定型発達が有意に早く達成された
2. 仰向けで寝ていた低リスクの早産児は、うつ伏せや仰向け以外の体位で寝ていた児童に比べて、頭のコントロールや仰向けと横向きの寝返り動作、手を正中位に持ってくることの達成が著しく遅かった
という、一定の結論に至っている。
まとめ
うつ伏せ寝による乳幼児突然死症候群は、睡眠中においてうつ伏せがリスク要因の1つとなり得るが、うつ伏せの遊びをしないこと(させない環境)は、乳児の定型発達を阻害する要因の1つとなり得るかもしれない。
起床している時に、管理が可能な範囲でうつ伏せを経験させることは、乳幼児の頭部のコントロールや運動発達を促進させることの1つであり、運動発達の促進においては重要なことと言える。
上記において、十分にリスク管理を行う必要はあるかと思いますが、
乳幼児のうつ伏せは頭部コントロール、定型発達を促す、正中位保持を促すなど、
その後の運動発達にも重要な役割がありそうです。
リスクを管理できる範囲の中で、うつ伏せなどの姿勢も積極的に取り入れることは運動発達を促す上で重要かもしれません。
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