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これからのCXの話をしよう-CX DIVE 2019ハイライト


先週の水曜日、CX DIVE2019に参加してきました。これは、インプットをしに行ったCX DIVEの内容を私なりに解釈し、これからのことに思いを巡らせた内容を書き連ねるnote。
※登壇者の発言は、会場でとったメモをもとにしているため、正確ではない場合があります


CX DIVEとは

今年で2回目となるCX DIVE。公式サイトではこう書かれています。

「CX DIVE」は、最先端のCX(顧客体験)を学び、体験できるカンファレンスです。


CX DIVEで共通して語られたこと

1つ1つのセッションの内容の興味深さもさることながら、複数のセッションの中で繰り返し語られた内容にまずは注目してみたいと思う。


①Believe Your トリハダ!

タイトル自体は、CX DIVEで語られたものではなく、中学生のころよく読んでいた旅人の高橋歩さんの言葉。この言葉が脳内でフラッシュバックするようなタイミングが、一日を通して何度もあった。
▼高橋歩さんの"Believe Your トリハダ。"が書かれた本はこちら


いろんな人が、「自分が面白いと思うこと」「自分の五感を通して”いいな”と思うこと」を信じて仕事をすることの重要性を語っていた。

面白いとかやりたいから始めて、そのあとちゃんとビジネスになるか考える。「なんでこれ作ってるんだっけ?」と自分でなっている状態だと熱が帯びない。自分ごとになった途端、熱が入る。自分が面白がることが一番大事。そうしないと心が折れる。
――遠山 正道(株式会社スマイルズ 代表取締役社長)
個人的な願望からプロダクトを作ろう!と常に話している。でかいことを言い過ぎないほうが共感を得やすい。
――武樋 恒(株式会社Synamon 代表取締役)
従来型のマーケティングではなく、自分たちのやりたいことを突き詰めることでプロダクトアウトしている。
――米田 智彦(FINDERS創刊編集長/文筆家)※ほかの登壇者に対して
自分が五感で何を感じられているのかが大切。レストランに行っても、「食べログ評価3.5を超えてたから美味しい」とか、”情報>五感”な状態になってしまっている。五感で実際に体験して、良いなと思うことの方が価値がある。
――紀里谷 和明(映画監督・写真家)

共感することも、私自身ハッとさせられることもたくさんあった。やる目的に共感できない仕事は片手で適当にやりすごしてしまう一方で、自分が「やりたい!」と強く思うことには熱を傾けることと遠山さんの話は繋がるし、食べログ評価の話は自分でもやってるなー情報をうのみにしてるのかもなーと考えさせられた。

前の記事でも書いたが、個人の嗜好が多様化している時代、「マスを取りに行こう」と考えるのではなく「自分がいいと思うことを貫こう」という姿勢が求められる世の中に変わってきているような気がした。

▼「前の記事」とはこちら


②コピペ時代の終焉。コピペできないコンテンツの重要性

「コピペ」「真似」という単語も、一日を通して盛んに出てきた。

いい飲食店の3か条。美味しい料理、ハコ(業態・内装)、人。はじめの2つはテクノロジーの進化により差別化しにくくなってる。おいしいことは競争優位性じゃなくなってくる。マネもすぐにされちゃう。最後に人が残る。
――宮野 浩史(株式会社クリスプ 代表取締役/株式会社カチリ 代表取締役)
command+C/command+Vみたいなのが好きじゃない。その街にあった業態があるはず、と思っている
――草彅 洋平(株式会社東京ピストル代表取締役/編集者)
商品が全く同じでも、CXは違う。どう作られ、誰が売っているのか。プロダクトの裏にあるストーリーは簡単にパクれない。これからは違いはCXに現れる。
minimalの場合は、工房で作ってる。某大手企業のBean to Barでロボットが作っているのとは違う。
――CXが拡張するD2Cの可能性 より
コミュニケーションを成立させるためにはコンテンツが「カタリスト(媒介)」になる必要がある。カタリスト=狭いところで共有された教授性
コピーできないからAIが勝てない
――CLOSING SESSION より

真似できることと、カンタンに真似できないこと。テクノロジーの進化によって、表面上の”真似”が簡単になったからこそ、作っている人の思いだったり、店舗に立つ人やその街の特徴だったりを強みにしていくことが必要になるということなのだと思う。

また、盛んに「ユーザーとのコミュニケーション」という話が出てくる時代になったが、「コミュニケーションをしよう!」と思ってコンテンツを作るのではなく、コンテンツがあるからこそコミュニケーションが可能になる、という視点は、CXを考えるうえで欠かせない考え方となるだろう。


そして最後に語られた、CXの「脱・コスパ」宣言

クロージングセッションでは、クラシコムの青木さんから興味深く、強く共感できる言葉が出てきた。

コスパよくやろうっていうナンパ師に口説かれたくはない。CXもそれと同じ。コスパよくうまくやってやろう!というのには人は惹かれない。
そもそも、コスパの話って、パフォーマンスが生まれてからの話なはず。現場が湧くこと、ユーザーの期待を超えて熱狂を生むこと。そこまできてやっと、収支を合わせることを考え始める。現場が喜んでないのに収支を合わせようとする、みたいなのは違う。
これからは適正予算で「脱・コスパ」

そして、その例の一つとして北欧暮らしの道具店で製作している『青葉家のテーブル』に言及し、

『青葉家のテーブル』は、P/Lではなく、資産を得た、と考えるととても良い投資だった。

と語った。ドラマを作ることは、予算も手間もかかることであり、短期的に見ると完全にペイしないものだった。けれども、作り手も受け手も熱狂するものを作れたことで、会社としてはこの先の成長や顧客エンゲージメントを強めるものになったのだと思う。

私自身、半年ほど前に週次の売り上げKPIを追うチームから移動して、CXに関わる仕事をするようになった。そこでは、『それやって短期的にどれだけ効果あるの?』ということをチームの外から聞かれては、返事に困ることが多々あった。「ユーザーにとって絶対いいことだからやりたいんです!」では成り立たないコスパの話がたくさん出てきた。だからこそ、今回の青木さんの話を聞いて、「そうか。ユーザーが熱狂してくれる状態に持って行くまでは、コスパの話じゃなくて予算のところだけ見ていればいいんだ」と心がスッと軽くなるのを感じた。

「脱・コスパ」「適正な予算内に収まっているかを見る」ことが、新しいCXを作っていく上で、とくに立ち上げ期には大切なのだ。


これからのCXと私の在り方

CX DIVEの1日を通して、今の仕事の中で参考にできること、そして何より、自分がこれから生きていく上で大切にしたいキーワードが散りばめられていた。

自分の信念を貫くこと、真似できないコンテンツ、そして「脱・コスパ」の考え方。いろんなプロダクトやサービスでユーザー体験が大事だと叫ばれ始めた今、単なる理想としてそれらを掲げるのではなく、一歩ずつ実践して良いものを作っていく身でありたい。

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