変な私を肯定してくれる、素敵な物語 〜「父と私の桜尾通り商店街」を読みました〜
クセがすごい。
千鳥のノブさんじゃなくても、きっとそう呟く。
登場人物のクセがすごいんじゃ。
でもそのどれもが愛おしいんじゃ。
今村さんの世界観はある意味ぶっ飛んでいるが、そこに何かしらの共感が生まれてしまうのは、きっと自分のどこかにもそんな異常さが存在しているからかもしれない。
異常な自分だからこそ、異常な登場人物たちが喜んだり苦しんだりする姿に感情を動かされる。そう、他人事には思えないのだ。
普通の人なんてこの世界にいない。
自分が普通だって胸を張れる人がいたら、その人は誰よりも異常だ。
今風の言葉で言えば、「多様性」ということになるのだろうか。
やばい人も狂った人も可哀想な人も共存する世界で、今日も異常で異質な私は生きている。
生きていて良いと、この物語が証明してくれる。
あなただけじゃない。
私だけでもない。
みんな等しく、みんな変。
それでいい。
変な私を肯定してくれる、素敵な物語でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?