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トラウマがない自分の人生は幸せ 〜「最後の命」を読みました。〜


中村文則さんの「最後の命」を読みました。

幼い頃にレイプの現場に遭遇して、そのトラウマに苦しんでいく主人公たちの話。

ヘビーです。
狂わなきゃ生きていけないほどのトラウマ。
僕には想像できないほど、めちゃくちゃしんどいのでしょう。いや、きっとしんどいなんて言葉では表しきれないのでしょう。

いっそ死んだ方が楽だ。
そんな苦しみを抱えながら日々ギリギリで生きている人たちが、この世界にはたくさんいるのだと思います。

何で生きてんだろ?
こんな苦しんでまで生きてる意味って何だろ?
終わらせていいかな?

生きていくことは苦しみと喜びを享受していくことです。
喜びだけを享受して生きることはできません。

でも、苦しみがあまりにも大きくて、これから感じられそうな喜びなんかじゃ全然モトが取れる気なんてしない時、人はどうすればいいのでしょうか。

だから人は、酒を飲み、煙草を吸い、薬なんかを使い、自分という存在をどうにか薄めながら、人生との間にどうにか距離をとりながら、日々をやり過ごしていくのかもしれません。

幸い、私にはトラウマと呼べるほどの体験もないし、まぁストレスは少なくはないけど、時間が経てば忘れてしまえるレベルです。

物語を通して絶望に触れると、自分の人生って結構マシなんだなと感じることができます。
これがダークな小説を読む一つの効能かもしれませんね。

なかなかヘビーで爽快な読後感が得られるわけではありませんが、なんか自分の人生を有難く感じ慣れるような、素敵な一冊でした。
みなさん是非読んでみてください。

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