見出し画像

生きづらい理由は生きやすい場所にいないから。「め生える」を読んで考えたこと。

高瀬隼子さんの「め生える」を読んだ。

皆がハゲてしまうという斬新な世界設定のフィクションだけれども、「生きやすさ」とか「マイノリティ」とかについて深く考えさせてくれた。

僕はハゲていないのだけれども髪があることが普通とされているこの世界では、ハゲている人はやっぱり辛い。
スキンヘッドにしたり、ハゲをネタにしてみたりして、どうにか折り合いをつけて生きている。

世界が反転したらどうだろう。
ハゲが当然の世界では、髪がある私は生きづらさを抱える。

本書の素晴らしいところは、この繊細で大きな課題を、ハゲという身近なテーマを描くことで表現している点だ。

さっと読むだけなら笑える。
ハゲって辛いよな。大変だよな。

一歩踏み込んで考えてみる。
これって、ハゲに限ったことじゃないよな。
社会における少数派はやっぱりしんどい。
全ての人が幸福に生きられる世界なんて、実はないのかもしれない。

だから、まずは自分自身を愛してあげたらいい。
生きづらさを抱えていませんか?
髪があるあなたが、ハゲが当たり前の世界に放り出されたら、そりゃしんどい。

髪があるあなたは、髪があることを当然とするコミュニティで生きていればいい。
置かれた場所で咲かずとも、人間は生きる場所を自分で選べるのだから。

生きるヒント、生きる難しさ。
色々と考えさせてくれた、素晴らしい一冊でした。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?