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いつか死ぬから今日と妻を大切に生きていたい 〜「美しい距離」を読みました。〜


山崎ナオコーラさんの「美しい距離」を読みました。

癌を患って入院する妻と、看病をする夫である主人公。

世の中に存在する数えきれないほどの人間関係。
そのちょうどよく、美しい距離というものは、決して決められた一定のものではなく、その人たちだけの唯一無二なものだと思います。

愛してるよと甘い言葉を囁き合うのが美しい距離なのか?
私はそうは思いません。

言葉にせずとも、お互いが心の中で相手を尊重し合う。
はたから見れば距離が空いてしまってるように見えても、それが当人たちにとっては美しい距離なのかもしれないのです。

人はいつか死ぬ。
この物語を読んで、思い知らされました。

人はいつか死ぬと言葉では理解してみても、人はすぐにその事実を忘れてしまって、日々を蔑ろに生きてしまったりする。

妻の余命を意識してはじめて、恵まれた今の環境に感謝の気持ちが芽生える。
失ってから気づくのが人間のサガで、その性質はあまりにも哀しい。

目の前の人を、大切にしようと思いました。
与えられた1日を、大切に生きてみようと思いました。

日々のストレスはもちろんあるけれど、その当たり前のストレスを当たり前に感じながら、人間らしく生きていられるというのは、すごく幸せなことかもしれません。
そして、すごく奇跡的なことなのかもしれません。

いつか死ぬ。だから今日を大切に生きる。

きっと明日には、この気持ちも忘れてしまうのでしょう。
だから何度でも言葉にして、その度に思い出していきたいのです。

いつか死ぬ人生。
だからこそ、生きている今に感謝できるし、感謝して生きる人生のほうがきっと豊かだ。

これは綺麗事だろうか?
きっと綺麗事だ。

だけどせっかくだから、大切に生きていこう。
目の前の大切な人を、大切にしていこう。

他者との美しい距離を大切にしていきたい。
いつか死ぬ。
その事実を悲観することなく、だからこそ今を楽しんでいこうという、適度な美しい距離を保ちながら、この人生を楽しんでいけたらなと思います。

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