綺麗じゃない世界観が生み出す綺麗なオチ 〜「人獣細工」を読みました〜
小林泰三さんの「人獣細工」を読んだ。
決して綺麗な話じゃない。
むしろ、目を背けたくなるようなダーティーな世界。
そんな物語なのに、読後の爽快感はなんだろう。
きっと、ダーティーだけど、綺麗なのだ。
物語として。
ホラーに分類されるものと思われるが、あまりにも驚いて悲鳴をあげた後に、残るのは「やられた!」という一種の清々しさだったりする。
そうして癖になる。脳が侵食される。ある意味で、これはドラッグのようなものだ。
汚いのに、綺麗。
目を向けたくないものをちゃんと見てみたら、美しいダイヤモンドが底に埋まってた。
そんな一冊でした。