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生きづらいこの世界で僕にできるのは、きっと想像をすることだけ。〜「授乳」を読んで感じたこと〜
村田沙耶香さんの「授乳」を読んだ。
3つの短編が収録されており、それらに共通するテーマが「生きづらさ」だったらような気がする。
男性ならこう生きろ。
女性ならこうやって生きるべき。
多様性が謳われる現代だけど、結局根本にある思い込みや決めつけを排除することはできない。
作中の主人公たちは、自らの世界に閉じこもって、世界と壁を隔てることで生きていこうとする。
だが、それにもやがて限界が来る。
どうしたって人間は社会的な生き物だから、外の世界と繋がらなくてはいけない瞬間が来て、生きづらさを突きつけられる。
自分に何ができるだろうと考えたけど、結局個人にできることなんてほぼなくて、想像したり少しでも理解しようとすることだけが唯一できることだと思う。
苦しんでいる人がいる。
愛想のないあの人の背景には、自分らしく生きることを許されない苦しさが隠れているかもしれない。
本書が書かれたのは10年以上前らしい。
多様性とか言いながら、まだまだ苦しいこの世界。
当時の人たちはもっと辛かっただろう。
その中で、この本を読んで少し心が解きほぐされた人がいることを思うと、著者は本当にすごいことをしているなと感じる。
何ともいう。僕にできることなんて微々たることだ。
本を読み、世界を広げておこう。
そうして生まれた少しの思いやりが、誰かの心をちょっと救える日が来ることを信じて。