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社会の圧力に流されながら生きていけばいい。〜「マリエ」を読みました〜

千早茜さんの「マリエ」を読んだ。
結婚について、幸せについて深く考えさせられた。

主人公は40歳近くにして離婚し、独り身となる。自分の好きなことをして前向きに生きていこうとするが、新たな出会いに巡り合い、心が揺さぶられていく。

僕は結婚していて、まだ離婚の経験はない。
願わくば、これからも経験をせずに生きていたいと思う。
離婚は無幸せなのだろうか。離婚して幸せになれる人もいるし、後ろ指をさされて辛い思いをする人もいるのだろう。

一人は自由だ。
誰に制限されることもなく過ごす日々は、開放感に包まれた幸せなものだ。
朝何時に起きたっていいし、夜遅くまで大好きなテレビを観ながら酒を飲んだっていい。
そこに幸せを感じられるのであれば、結婚しないという選択肢も全然アリだと思う。

僕は結婚した。
一人でいることが苦痛じゃない人間だけど、やっぱり一人で生きることに虚しさを感じてしまっていた。何より、社会の見えないプレッシャーみたいなものがしんどかったのだと思う。
ある程度の年齢になったなら、しっかりと家庭を持ち、一人前に生きなくてはいけない。
いくら自分の好きなことをやっていても、脳裏にその無言の圧力を感じてしまっているから、どうにも心から日々を楽しむことができない。

キラキラした結婚も確かにあるけど、案外僕と同じように、「しなきゃ」が伴った結婚をした人も多いのではないか。男性の僕がそんなのだから、女性は尚更そうなんじゃないかと思ったりする。

結婚=幸せじゃないとわかっているけど、結婚=幸せだと定義するのが世間であることもわかる。世間体を無視して生きられる強さを、残念ながら僕は持ち合わせていなかった。

なんだか結婚に対して後ろ向きな感想ばかり書いてしまったが、今は楽しく妻と暮らしている。
ただ、結婚したらしたで、次は「子育ては?」という世間からの無言の圧力に苦しまされたりする。
無言の圧力のおかげで結婚できて今幸せなのだから、圧力にも良い面はある。ただ、圧力を感じてしんどい思いをすることも多いよなと、この人生がなんだか虚しくなる時もある。

今、僕は子供が欲しいと思い始めている。
昔はそんなこと、1ミリも思わなかった。
社会の圧力のせいだろうか?圧力に耐えながら生きる日々に限界を感じるから、諦めて前を向いた振りでもしているのだろうか。

どんな人生になっていくのだろう。
自分の足で歩いているようで、やっぱりどこか見えない圧力によって、僕たちの人生は動かされている。

なるようになるさ。気楽にいこう。
流されるように、圧力の中を軽やかに泳ぎ続けていけたらいいなと思う。

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