自分で仕事をつくる人は、アートやミュージックに近い場所にいる気がする
これがシューマッハ・エクスペリエンス滞在記、最後の記事です。想像以上に長くなってしまったけれど、1年を経て改めて気づくことがあって、やっぱり振り返ることってすごく大事だなって思って書いています。
▼前回の記事はこちら
授業以外の時間が教えてくれたこと
最初に書いた通り、”Schumacher Experience”というプログラム自体は、
で構成されているのですが、③の時間って、プログラムに参加する前はわたしの中で想定していなかったんです(というか今思えば、集合時間以外のスケジュールは、到着するまで知らされてなかった笑)。
けれど、③の時間でいろんなことを消化してくれたことが良かったなって。普通プログラムってどんどんコンテンツを入れていく形が多いと思うのですが、ちゃんと出す時間がセットされていたのが良かった。
この先自分もプログラムをつくっていく中で、こういう時間も意図的に組み入れていこうって思うくらい、大切な時間でした。
「なぜシューマッハ・カレッジに来たのか?」を聴き合う
一つは、アクティブリスニングのワークで、テーマはこちら。
これは、ネイティブアメリカンの持っている習慣で、スウェットロッジでもやるそうなのですが、これはもっと今一般的になっている気がします。
普段会話って、「相手のため」とか「社会的な目標ベース」でなされていることって多いと思うのですが、そうではなくて、ただそのとき湧いてきたものを言葉として出していくだけ。
改めて、ここに来るまでの自分の道のりを確認できたし、それで何を得たいのかっていうことを思い出せたことがすごく良かったのです(これがなかったら、忙しいプログラムをこなすうちに最終日だったかもしれない…)。
わたしはブラジル人の女性とペアで、お互い英語ネイティブじゃない中で話したけれど、ここに来るまでの経緯を聞いて、なんだか親近感を感じたし、心の距離が近くなった気がしました。
「今、あなたが感じていること」を詩にしてみる
もう一つは、詩のワークで、テーマはこちら。
リフレクションの時間にもしてねって言われました。
最初は、みんなネイティブ言語で話しているから、人によっては何を言っているかまったくわからないんです。ただ、人間って「自分の母国語で話すと、よりその人っぽくなる」んですよね。これはちょっと驚きでした。
そして、最後にはみんな英語で話すので、はじめてその人が語っていたことがなんとなくわかって。一周して全員が話し終えたときには、一つひとつの言葉がつながって、大きな詩になっていたのです。
不思議なことに、同じ言葉が何度か出てきたり、隣合う人が呼応していたり、本当に見えない何かでつながっている感じがしました。即興で生み出されたものの奇跡に感動したし、それらが醸し出す雰囲気が本当に素晴らしかった。
もちろん、授業もとても密度は高かったけれど、ワークショップデザイナーとして学んできた一人としては、ファシリテーターがつくりだす「間」の時間の豊かさが本当に見事だったし、学べることがたくさんありました。
(これは本当に感動するワークなので、ぜひ場で体感して欲しい!)
終わりは、はじまり。
|カカオセレモニー
最終日の午前中は、カカオセレモニー。
カカオという言葉は、マヤ語で”Heart blood”という意味。そして、カカオは心の内側と外側をつないでくれるのだそう。普段飲んでいるココアとは似ても似つかぬ、すっごく濃いカカオの飲み物が用意されていました。
もう一つの飲み物は、ローズマリー水。ローズマリーは思い出の象徴とされ、記憶を司るのだそう。水は感情を運ぶとも言われています(このセリフはアナ雪にも出てきます)。水はダーティントンの水で、実は初日からわたしたちのお部屋にあった水ということでした。
ここで、初日からずっと使っている「お部屋の意味」が出てくるんです。
最初のパーソナルストーリーで使った「大切なものたち」は、その後ずっとお部屋の机に置かれていて。この5日間はこの部屋はわたしたちしか使っていないから、わたしたちだけの特別な場所になっているんだよってTillyが教えてくれました。「大切にされたものは、わたしたちを大切に見守ってくれる」んだよって。
ここからは、1週間の体験を振り返り。誘導瞑想をもとに、それぞれ出てきた言葉を書き出します。
わたしが感じたことはこんなこと。
最後の気持ちは、自分で大切に持ち帰ってねって言われました。
私たちはたくさんのことをシェアしてきたから、最後のその感想は自分だけのものにしていいんだよって。
(わたしは、これは伝えてもいいメッセージだなって思ったのでそのまま書いています)
|クロージング・サークル
最後の最後は、この1週間で手に入れたものを書くというワークでした。4つのテーマで一つずつ付箋を書いて、みんなで紙に貼っていきました。
最後に、Tillyがくれた言葉がとても素敵で。わたしが、
みたいな話をしたら、
そんな話をしてくれたのですよね(今思えば、初日にも「kindness」について話し合う時間があった)。
最後には、シューマッハ・ハグを。みんなでぐるぐる回って、出ていく人を抱きしめるお別れのハグ。すごく温かくて、たった1週間の出逢いでも、こんなに人はつながれるんだなって思ったのです。
勇気を出して、頑張ってここまで来てよかったなって。
世界の色々なところに住んでいる人が、一瞬のタイミングを同じにして、同じ思いを共有できることに幸せを感じたし、自分らしく生きている人がこんなにもたくさんいることは、わたしにとって希望だなって思いました。
誰もがアーティストになれれば、本当に世界は変わる気がした
ふと、帰り道で思ったこと。それは自分で仕事をつくる人は、アートやミュージックに近い場所にいるのでは? ということ。
授業以外の時間や夜は、ラウンジに集まって、みんなで歌ったり踊ったり。どこからともなくリクエストが飛んできて、それをピアノやギターや打楽器で演奏して、みんなで歌って、英語が話せる話せないなんてまったく関係なくて、それだけでとても楽しい時間でした。
このときはプログラム参加者だけだったけれど、その次の日には、全員の朝礼(普通の生徒たちもいる)で"We Are The World."を歌うことになったり。
そういうことに気づけた旅でもあったし、それこそが、「創り手である」ということなのかもしれないと思いました。
多分、わたしが3つの学校に連続して行ったというのもあるのですが、それぞれ中心となる生徒の世代が違って、少しずつ大人になって歳を重ねていく感じだったのですね。
いろんな世代の人たちの中にいたことで、わたしも、そのときの立場で自分にできることがきっとあるなって思いました。
日本に帰国してから起きたこと
実はこのとき参加していた日本人全員が、帰国後に旅の報告会をしていたんです。しかもそれぞれ個別に。相談したわけでもなく。
これってけっこうすごいことだと思うのです。
他にもシューマッハ・カレッジに行ってきた人って、多くの人がその経験をシェアする会をやっているんですよね。これこそが、シューマッハの学びであり、ACTIVISTを生み出す土壌なんだなと思いました。
そしてそれをきっかけに、わたしは場づくりを自分で実践するようになり、サティシュが言った通り、「自分で仕事をつくる」実験をはじめるのです。
そして、そこからちょうど1年。
わたしは今、まったく想像もしなかった道を歩いている気がします。
やっと、自分に起きてきたことをまとめ始めているのと、また進むたびに新しいことに気づいているので、それはまた一つずつ、書き進めていきたいと思います。
(わたしは1年を経てやっと、1年前にもらったギフトに気づきました。今度はそれを少しずつ必要な人に手渡して行けたらいいなと思っています)
【お知らせ】
シューマッハ・カレッジから帰ってきてちょうど1年ということで、ここまでに起きてきた不思議な体験をお話しする場をつくりました。実際にわたしたちがプログラムの中で経験したワークも体感いただけるので、もし興味を持っていただいた方は、ぜひ遊びに来てください。
(イベントを一緒に開催するみづきちゃんも、シューマッハに行ったからこそ出逢えた友人。たくさん色んなきっかけをもらいました)
みづきちゃんとはラジオも一緒にやっています。シューマッハのことも不定期で話しているので、ぜひ聞いてもらえたら嬉しいです。
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