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【ZAKU PAKA FASA展ができるまで】鱗テキスタイルの制作ストーリー vol.2織物開発

みなさんこんにちは!デザイナーのほりせいと刺繍作家のむすびめです。

9月14(土)~16日(月・祝)の3連休に大崎THTギャラリーにて、デザイナー・アートディレクター、コピーライター、プランナーの5名のクリエイターによる合同展示「ZAKA PAKA FASA展」を開催します!

展示に先立ち、noteマガジン「ZAKU PAKA FASA展ができるまで」にて展示制作の裏側をお届けしていきます。

私たちはこの展示で、生物が身を守り、生き抜くために進化した「鱗」をモチーフにしたオリジナルテキスタイルを発表します。

前回のnoteでは、私たちがなぜ鱗のモチーフを選び、テキスタイルの開発を始めたのか
その背景をご紹介しました。

今回は、オリジナルテキスタイルをはじめて開発した私たちの
制作ストーリーをお届けします。

テキスタイル開発への挑戦

そもそもテキスタイルって
個人で作れるの…?

そんな疑問をいだいた私たち。

つくりたいものは決まったけれど、その道筋がまだ見えていない…。まずはどんなオリジナルテキスタイルをつくれるか、その検討から始まりました。

まず最初に思い浮かんだのはオーダーメイドのプリント生地
既存の生地に鱗柄のプリントをのせることでオリジナルのテキスタイルができそうだと考えました。

色の濃淡や明るさで、鱗の質感や色合いをどこまで表現できるか。プリントの奥深さを感じながら模索していくなかで
もうひとこえ「ベースとなる生地づくりから挑戦したい。」という想いが生まれていきました。

そこで出会ったのが、群馬県桐生市で110年以上の歴史を持つ織物工場、須裁株式会社さんで実施されている「オリジナルジャカードオーダー」でした。

桐生は日本の機(はた)どころ

群馬県の桐生市は「西の西陣、東の桐生」の称される織物の産地。
ローカルネタですが、群馬県民の義務教育である(個人の見解です)、上毛かるたでも
日本の機どころと称される産地です。

伝統のあるこの地で地元に根ざしたものづくりを続けられながら、一般に向けたオリジナル生地企画も開催され、テキスタイルへの門戸を開かれている須裁さん。

110年以上の歴史を持つものづくりを見てみたい。足を運んで目で見て感じて、ものづくりがしたい。

そんな思いから…いざ!

桐生へと向かいました。

快くお迎えしてくださった
須裁株式会社さん

機織り機の音が鳴り響く工場内。規則的に、精密に、テキスタイルが織られていきます。

早速須裁さんが、事前にお送りしていたオリジナルの鱗柄をもとに試織をしてくださっていました。

1stサンプルの鱗柄ジャカード

糸のきらめき感で鱗の光沢感を表現された
織の美しさに見とれた私たち。

織物ってすごい!

糸の集まりと組み合わせから、こんな多彩な表現ができるなんて!興奮冷めやらぬなか、織物の規則正しい美しさからどう鱗を表現するか、さらにお話を進めました。

鱗は規則的に並んでいるようで、細部をよく見ると
生きていく間に傷がついたり剥がれたり、一点ずつ変則的な揺らぎがあります。

一方で、経糸(縦に並んだ糸)と緯糸(横に並んだ糸)を組み合わせ、規則的で整然とした美しさを持つ織物。
この規則的な並びから、私たちが惹かれた鱗の持つ自然の揺らぎをどう表情するか
ここまで検証してくださった須裁さんと、もうひと粘り、打ち合わせを重ねていただきました。

須裁さんの多岐にわたる生地見本を拝見し、そして、コンセプトを共有するなかで辿り着いたのが「モアレ」による表現でした。

規則的な並びから生まれる、不規則な揺らぎ

モアレとは、規則正しい連続模様を複数重ね合わせたときに、それらの周期のずれにより視覚的に発生する模様のことです。

テレビの画面を撮ろうとしたときにカメラ越しに映る波紋状の模様を、みなさんも見たことがあるのではないでしょうか。

本来、こうしたモアレは出方をコントロールできず、アパレル等の生地開発においては発生しないように考慮されるケースが多いです。しかし、この制御のできない自然発生的な揺らぎが、私たちの目指す鱗の表現に繋がるのではと考えました。

鱗のコンセプトと職人技の融合

織物は「紋星」と呼ばれる職人の手によって
織の設計図が作られます。

織物を構成する経糸と緯糸が交差する場所を捉え、どちらの糸が上に来るかを指示していきます。こうした組織の組み合わせ次第で色合いや風合いのまったく異なる生地が生まれ、仕上がりを左右する繊細で精巧な職人技が求められます。

今回開発したテキスタイルは「二重織」と呼ばれる二枚の生地が織り重なり、一枚の生地を構成する製法を用いています。上部は透明で透け感のある生地、そこから下部の生地の柄や色が映る仕様です。

そしてこの上部の生地には「モアレによる揺らぎ」が発生します。モアレが生む不規則な模様と陰影から下部の生地がどう映るのかを予測しながら、使用する糸の種類や組織の構成の数々の検証をいただきました。

モアレのでやすい鱗柄のステッチ検証

鱗模様に施すステッチの入り方によっても、モアレの出方は変わります。無限の表現があるテキスタイルの可能性を感じながら、試織を重ねていただき、光の加減や生地の動きで変化する、魚のありのままの姿のような
2種類のオリジナルテキスタイルが生まれました。

9/14(土)〜16(月祝)に展示会場にて、ぜひ生の生地感をご覧いただけたら嬉しいです。

さらに展示では、今回開発したオリジナルテキスタイルの展示のほか
素晴らしいフォトグラファーさん2名とモデルさんとご一緒した写真・動画作品をお披露目します。

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次回のnoteは、写真・動画作品の制作話についてお届けします✎

フォトグラファーさんの感性と技術を通じて、scaleがますますパワーアップしていく様子をぜひお楽しみに!▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△

展示まであと2日…!(9月12日現在)。

引き続き「ZAKU PAKA FASAができるまでマガジン」にて、当日がもっと楽しくなる制作の裏話をお楽しみいただけましたら嬉しいです。

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▼展示の詳細はこちらから!

みなさまのお越しを、心よりお待ちしております。

ほりせい・むすびめ






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