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音楽話

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投稿のメインです。自分の好きな音楽を勝手気ままに取り上げ、紹介していきます。
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#ROCK

The Beatles "It's All Too Much" (1969)

The Beatles "It's All Too Much" (1969)

音楽話137: 倦厭
ご挨拶

今年も宜しくお願いいたします。
皆様の2025年・令和7年が良き年となることをお祈り申し上げます。

これまで通り、自分が好きな1曲を不定期に書き殴っていきたいと思います。ジャンル不問、時代不問。広大な音楽の海を泳いで、ほんの少しでも皆様の音楽ライフに新たな発見や気づきに繋がるようなキッカケをご提供できれば、それは望外の喜びです。

世界最大にして最強

2025年

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(音楽話)129: スピッツ “俺のすべて” (1995)

(音楽話)129: スピッツ “俺のすべて” (1995)

彼がタンバリンを手にしたら
ヒト: スピッツ

1987年に結成してかれこれ40年近く。美大生の草野(Vo, G)と田村(B)が組んだバンドは、紆余曲折を経て服飾系学生の三輪(G)と崎山(Dr)が加わり、かなりパンキッシュな音を鳴らしていたというのは有名な話。しかも当時はThe Blue Heartsを意識していた…意外ですよね。しかし草野自身がキャラに合わないと感じ、徐々にアコースティックな方向

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(音楽話)122: Heart “Heartless” (1978)

(音楽話)122: Heart “Heartless” (1978)

【泣く子も黙れ!】

女性の社会差別撤廃、権利保護が謳われて非常に長い年月が経っていますが、未だに「男女平等」とは程遠い場所に我々はいます。近年、特に日本は欧米だけでなくアジア各国とも比較され、その改善の遅さが指摘されているのは周知の事実です。

たとえば、社会で女性が活躍していることを示す指標のひとつ「企業管理職に占める女性の割合」。最新の調査データでは日本は12.9%で他国と比べて低く、従来か

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(音楽話)113: Paul McCartney and Wings “Wild Life” (1972)

(音楽話)113: Paul McCartney and Wings “Wild Life” (1972)

【不退転の覚悟】

2024年10月現在、生存する全音楽家の中で最も成功した人物は、Paul McCartneyでしょう。なんといってもThe Beatlesの存在が大きいわけですが、彼がバンドの音楽的中心だったことは意外と認識されていないように思えます。
The Beatlesは元々John Lennonが組んだバンドですし、実際Johnがバンド・リーダーでした。しかし1962年のデビュー後、数

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(音楽話)111: Elvis Costello and The Roots “I Want You” (2023)

(音楽話)111: Elvis Costello and The Roots “I Want You” (2023)

【欲望の塊】

日本語だろうが外国語だろうが結局のところ、人の出逢い・別離を表す言葉はシンプルであればあるほど、伝わる熱量・質量・意味合いは強烈です。

愛してる、さようなら、大好き、大嫌い、恋してる、別れましょう…前後の文脈によって如何様にも受け取ることができますが、それら自体はとても強い言葉です。そして、それら強烈な言葉自体を使わずにいかにそのものを表現するか。聴く者に「うまいこと言うなぁ」「

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(音楽話)78: Robert Palmer “Girl U Want” (1994)

(音楽話)78: Robert Palmer “Girl U Want” (1994)

【天性】

Robert Palmer “Girl U Want” (1994)容姿もヘアスタイルも性格も言動も、人間は変える・変わることができます。それがたとえ痛みを伴ったり無理をしたり危険を冒すとしても、変化させることは可能。しかし、変えることが極めて困難なものがあります。

それは、声です。

ハードロックのしわがれ声に憧れて喉を潰すとか、美しいソプラノ声を目指してボイトレし発声法を学ぶとか

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(音楽話)74: The Who “A Quick One” (1968)

(音楽話)74: The Who “A Quick One” (1968)

【究極】

The Who “A Quick One” (1968)

1960年代は、それ以降の世界を変えたバンドが4つ、英国に生まれました。それはThe Beatles、The Rolling Stones、The Who、Led Zeppelinです。世界というと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、音楽の領域にかぎらず、世界全体を大きく変えたと言っても大袈裟ではありません。
(60年代の英国な

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(音楽話)66: INXS “What You Need” (1985)

(音楽話)66: INXS “What You Need” (1985)

INXS “What You Need” (1985)

INXS。Midnight Oil、Rick Springfield、Crowded House、Air Supply、Men At Work、AC/DC…みんなオーストラリアが生んだ音楽です。特に1980年代はオーストラリア勢がバンバン全米チャートを席巻しました。中でも女性から圧倒的人気だったのがINXS、というかヴォーカルのMichae

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(音楽話)58: ゲスの極み乙女。 ”綺麗になってシティーポップを歌おう” (2020)

(音楽話)58: ゲスの極み乙女。 ”綺麗になってシティーポップを歌おう” (2020)

【確信犯】

ゲスの極み乙女。 ”綺麗になってシティーポップを歌おう” (2020)

皆さんがどういうイメージを持っているかわかりませんが、断言します、川谷絵音は現代音楽界で、国内外関係なく、頭ひとつ抜けた天才のひとりです。

彼の作り出す音楽はクセもアクも強く、良く言えば「一発で彼の曲だとわかる」、悪く言えば「何を聴いても一緒」。歌詞も捻くれた、歪んだ、ジェンダーレスな響きを纏っていて、一度聴

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(音楽話)36: Prince "Holly Rock" (2019)

(音楽話)36: Prince "Holly Rock" (2019)

【聖】

Prince “Holly Rock” (1985>2019)

Princeは私にとって永遠の憧れです。誰よりも早い段階で彼はひとりでミクスチャー・サウンドを鳴らし、多様性溢れる音楽観は自由そのもの。「Princeのラップはダサい」と90年代は嘲笑されたこともありますが、そんなのお構いなく我が道を行きました。まさに天上天下唯我独尊ーまたこの言葉が似合うこと。

これはファンク・ビートに

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(音楽話)33: Billy Joel “Got To Begin Again” (1971)

(音楽話)33: Billy Joel “Got To Begin Again” (1971)

【諦念】

Billy Joel “Got To Begin Again” (1971)

Billy Joel。説明不要。日本でも大変人気の高いSSWですし、来日公演も何度かありました。私も1991年、東京ドーム公演を観に行きました(後日TVでも放映されました)。ライヴでは確か”さくら、さくら”を”My Life”の前に演奏してましたっけ。彼はソロ・デビューまで苦労があって(バンドに参加→売れず

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(音楽話)27: Janis Joplin “Raise Your Hand” (1970)

(音楽話)27: Janis Joplin “Raise Your Hand” (1970)

【削命】

Janis Joplin “Raise Your Hand” (1970)

あまりに有名なシンガー、Janis Joplin。近いところでは5年ほど前、Natalie Portmanが出演したDiorのCMに”Piece of My Heart”が使われました。この曲がCMのストーリーをより印象的なものにしたと思うのですが…ご記憶ありませんか?(ちなみに私Natalieの大ファンです

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(音楽話)24: John Lennon “#9 Dream” (1974)

(音楽話)24: John Lennon “#9 Dream” (1974)

【夢の夢】

John Lennon “#9 Dream” (1974)

以前も書いたことがありますが、John Lennonは聖人君主でもなんでもありません。どちらかと言うとクズ野郎です。

反戦を歌い、メディアのインタビューで吠え、活動を強力に支援し、「Love and Peace」という言葉が代名詞になったJohn。しかしこのイメージは基本的に彼の死後に形成されたもの。実際の彼は粗暴で口汚

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(音楽話)20: George Harrison “Between the Devil and the Deep Blue Sea” (2002)

(音楽話)20: George Harrison “Between the Devil and the Deep Blue Sea” (2002)

【狭間】

George Harrison “Between the Devil and the Deep Blue Sea” (2002)

11月29日は、George Harrisonの命日でした(1943-2001)。

物静か、皮肉屋、隠遁生活、寡作…彼を形容した言葉の数々は、彼を神秘的な人間に仕立てました。確かにそうだったかもしれませんし、実際気難しい人だったのかもしれない。しかし案外

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