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アリを味わふと言ふこと
【やってみた】
「働かないアリに意義がある」を読み、組織化されたアリ社会のことで頭がいっぱいになっていた。
「もっと知りたい」
世界中のアリについて調べてみる。
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ハキリアリ──中南米の密林の中で、自分の体重の50倍の重さのある切り取った葉をせっせと巣に持ち帰り、葉を使って農耕(菌類を栽培)し、菌類とウィンウィンの関係で共存しているアリ。
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ツムギアリ──東南アジアに生息。樹上に王国を築くアリで、幼虫が出す粘液を糸のように使って、大きな葉を“紡ぎ”巣を作る。蟻酸の酸味を活かし、ご飯のお供や、スープの中にも入れて食べるらしい。
食べる、だと…?
アリを…?
アリなんて、子供の頃に潰したアリを、皆でおっかなびっくり舌の先に付けて「スッパーーーイ!」ってやったきり、口にしたことはない。
え?…皆さんもやりましたよね?
「四六時蟲、虫が好き」な私も、本格的に昆虫を食べたことはない。
どんな味がするのだろう。
虫好きならば、もっと内側からも虫を知るべきではないのか。
私はすぐにツムギアリを注文した。
ネットには、現地で調理されたいくつかのツムギアリ料理の写真が載せられていた。
手先は器用な方だが、料理の腕前は平々凡々たる「中の中」レベルであるため、インスタ界の「隠れ虫好き料理人♀」に助けを求め、レシピ制作を依頼した。
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よく見ると羽つきだ。
かくして素材の味を最大限に活かしたツムギアリレシピが考案され、予想以上に大きなアリ(しかも全員女王アリだから羽つき)に尻込みしつつも調理が施された。
①【ツムギアリのふりかけ】
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ツムギアリを弱火で炒ると、香ばしい煙が鼻をくすぐる。
焦げる一歩手前で火を止め塩を振る。
ふと考える。
これをご飯にかけて食べるのか…と。
頭だけだったり、お尻だけだったり、羽つきの完全体だったり…なかなかのビジュアルだ。
調理済みのフライパンには、主を失った脚やら羽やらの残骸がくっついている。
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怯んだ私は、味の素の瓶を手にし、レシピを無視して一振りする。
「よし、これでいい。」味の素がいい仕事してくれますように。
②【小松菜とツムギアリの炒めもの】
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レシピをみると、10g入りのツムギアリのうち、ふりかけの2gを除いた8gを一度に使えという。
乾燥ツムギアリの8gは、皆さんの想像を遥かに超える体積を持つ。
このレシピは本当に一人前なんだろうか。
大食漢である彼女の作る一人前は、いつも常人でいうニ人前ではなかったか。
私は、こっそり全ての材料を半量にした。
言っておくが、食べたくないのではなく、食品ロスを無くすための私なりの配慮である。
香ばしいごま油の香りに、緑と茶色の色彩の対比が鮮やかで、意外と旨そう。
いざ、実食。
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「…脚か羽が口に残るけど、香ばしくて美味しい!」
「桜えびみたいな食感。ちょっと苦味があるけど」
「次は小松菜だ。…お!旨い!小松菜のシャキシャキ食感に合う!」
「ふりかけご飯と小松菜を、交互にね。これはご飯がすすむなぁ。しかしコッチ食べてもアッチ食べてもアリばっかで、胃の中アリまみれだわ。」
よし、ここいらでアレだ。
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脚がもげてるのはご愛嬌。
「うぉぉぉ…胴体のところから変な汁とか出てこないのかな…よぉぉし…!パクっ!」
「サクッ……うんまっ!」
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きちんとフードとして認識している。
「胴体の中まで味が染みててサクサクで美味しいわぁ。脚もパリパリだ!アリも美味しかったけど、やっぱり日本人の舌には佃煮がしっくりくるわぁ。」
なんのはなしですか
【第一回 昆虫食対決】が、挑戦者イナゴ🦗の勝利で幕を閉じたはなし。
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ツムギアリご飯を食べる。
※第二回の対決(時期未定)は、タガメVSハチノコ&カミキリムシの予定です。