美女の条件
【虫エッセイ】
美女の条件って、なんでしょう?
黒目がちな大きな瞳?
口元がきゅっと上がったぷっくり柔らかそうな唇?
笑うと片側にだけ現れるエクボ?
清潔感があって心和む優しい笑顔?
それとも、誰にも言えない自分だけのフェチ的な何かを持ったヒト?
人それぞれに違う美の基準。
時代時代でも変わる基準。
彼女の名前は
ビジョオニグモ
べっ甲模様のすらっと伸びたお御足に、色白でふっくらとした肉付きの躯体。
ビジョ…
オニ…
クモ…
一体、何を以てビジョなのか。
名前の由来は、彩色が美しいという意味での「美女」+「鬼蜘蛛」(オニグモ属)だから。
オス♂であっても、ビジョオニグモ。
ゆえにビジョオニグモのオスという変な呼び方になる。
メスに比べてオスが極端に小さく、交尾が終わると食べられちゃったりする…という何かと女性優位な蜘蛛の社会を反映して、まるでオスの存在が名前から消滅させられてしまったかのようだ。
そんなことを考えながら写真を眺めていると、お腹の模様がこれにしか見えなくなってしまった。
なんのはなしですか
美しさの基準はそれぞれが思うそれぞれの形でいい、と思うはなし。
私はこの蜘蛛を美しいと思う。
もしかしたら、「蟲を愛することが条件」なんて奇特な方もいるかもしれない。
いや、いてほしい。
いいや、いるべきだ。
…な、はなし。
ちなみに。
私の最優秀蜘蛛賞は、ハエトリグモ。
この表情、つぶらな瞳。
いつ見てもキュンとする。