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自然を感じるセンサーをONにして散歩する
【虫エッセイ】
「あぁ気持ちがいい。一年中この気温でいいのに」
そんなことを独りごちながら、いつもの河原を目指す。
昨日の北海道は久しぶりの夏日で、今年初めての半袖日和であった。
花や緑が豊かで、カラッとした空気は暑すぎることも寒すぎることもなく、北海道を楽しむにはこの時期が一番いい季節ではないかと思う。
一年の半分が終わり、やっと暖かくなったと思ったのに、あと半年もしないうちに再び初雪が降ることを考えてはウンザリとする季節でもあるのだけれど。
昨日の散策の目的は、もちろん虫探し。
普段は漠然と「なんかいたらいーな」くらいの気持ちで行くのだけれど、昨日はどうしても会いたい虫がいた。
ジンガサハムシ
体長7~8mm。円盤みたいに丸い体の背中はなだらかに盛り上がり、外側に行くにつれて扁平となり、円盤の縁は何故か透明で、その下の黄色い脚が透けて見える。個体差はあるが、背中の模様は銅色〜金色に輝く。戦国時代に雑兵が兜代わりにかぶっていた陣笠に形状が似ていることが名前の由来らしい。
食草はヒルガオ。ヒルガオの葉に虫食いがあったら、ジンガサハムシがいるサインかも。
去年の夏、いつもの河原に行く途中の脇道に咲くヒルガオの葉上を歩くジンガサハムシに一度だけ出会い、こんな昆虫がいるのか、と大変感動した。
今年も、その美しく愛らしい姿を見るため去年と同じヒルガオを目指した。
そこは散策路から河原へと続く、ほんの20mほどの緩やかな下り坂で、小学生時代、下校途中にマルハナバチと一緒になって蜜を吸った懐かしのコンフリーや、繁殖力旺盛でお庭に植えたら後悔するアップルミントが群生している、普段から人気のない場所である。
踏みしめるたびに、アップルミントの爽やかな香りが鼻からスッと抜ける。
この香りを嗅ぐたびに、実家の畑で母と一緒に草むしりをしたことを思い出す。
お目当てのヒルガオは、もう少し先。
雑草の陰に、ヒルガオの白に淡いピンクの混じった花びらが見える。
葉っぱにはいくつもの虫食い。
うんうん。
これは期待できそうだ。
支柱となるものがないので、コンフリーやアップルミント、その他雑草の茎に、自由自在に巻き付くヒルガオの葉を、注意深く観察する。
葉を揺らさぬようゆっくりと歩きながら、虫食いの葉の周囲を、目を円盤のようにして探す、探す、探す。
陽を反射して、キラリと光る小さなもの。
「いたー!!!!」
思わず、大きな声を出してしまった。
写真を撮ろうとソロリソロリと近づくと、ピョンっと隣のコンフリーへ飛び移る。
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背中の模様部分がもっと金色に近いものもいるようだけど、去年見たのもこれと同じく銅色の奥に金色が隠れたような輝き方をする個体だったので、ここに住む彼らの特徴なのかもしれない。
せっかくなので、去年撮影したものを含めて動画にしてみた。
画質は少し荒いけど、ちょこまかと動く可愛い姿をぜひ見ていただきたい。
撮影が終わり、あとは眼のカメラで撮影し、脳のフォルダに収めるだけ…と更に一歩近づくと、気まぐれジンガサハムシさんはプ~ンとどこかへ飛んで行ってしまった。
こちらでジンガサハムシを見られるのは5〜7月初旬まで。
あと一回くらい、会いに行けるかしら。