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【連載詩集】No.44 誰かを愛するということは。


誰かを愛するということは


一緒にいる時間にときめいたり

これから何をするか楽しんだり

どんなことを話すのか考えたり

お互いの温もりを求め合ったり


そういうことではなくて

そういうことだけではなくて


『愛する人がいなくなってしまった世界まで

受け入れる覚悟を心の中に持つ』

ということではないのかな


誰かを愛するということは

そういうことではないかな、と


もちろん、

そういうことだけでは、

ないのだけれど


夜道で虫の声を聴いた気がして

夏の終わりがあたまをよぎって

秋の寂しさがこころを突いて

冬の訪れの影を恐れて


春の君の横顔が

もう思い出せなくて


あれ?


おかしいな、

誰かを愛するということは、

『愛する人がいなくなってしまった世界まで

受け入れる覚悟を心の中に持つ』

ということではなかったのかしら、と


ふと、そんなことを思い、

わたしは戸惑って泣いた。



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