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【人気企画 第2弾!】SAWフィルタの製造工程をお菓子作りで再現してみた!🍰

こんにちは!村田製作所の広報担当です。

皆さんはどんなケーキが好きですか?
私は最近キャロットケーキにハマっています。

今回は、ムラタの主力製品のひとつであるSAWフィルタの製造工程をケーキ作りで再現します💪
そう、あの大人気企画の第2弾です!
(👇第1弾はこちら)


はじめに:SAWフィルタとは?

SAWフィルタは「表面波フィルタ」とも呼ばれ、弾性表面波(Surface Acoustic Wave)の特性を応用しています。

必要とする特定の周波数のみ通し、不要な周波数をフィルタリングすることができるので、スマートフォンをはじめとする通信端末には必要不可欠な電子部品であり、ムラタのシェアは世界No.1です!

■ムラタのSAWフィルタのシェア

※製品の世界シェアは当社推定値です
また市場や用途により異なります

そんなムラタのSAWフィルタは、金沢村田製作所(石川県)や、仙台村田製作所(宮城県)で製造しています。

 

まずはレシピの準備から!

なるべく忠実にSAWフィルタの工程を再現できるよう、事前に社内の有識者に相談し、レシピを作成しました。

今回協力してくれたのは、SAWフィルタの生産工場である金沢村田製作所の製造技術*の担当者です。

*製造技術:製品を安定的に生産、供給する工程をつくる役割

実際のSAWフィルタの製造工程は、大きく分けると以下の10工程になります。

(細かい工程は割愛しています。)

ひとつの製品ができるまでに、これだけたくさんの工程があります…!
今回、この10個の工程をケーキ作りで再現していきます🔥

前回のコンデンサはクッキー作りで再現しましたが、今回はなぜケーキなのでしょうか?

それはずばり、SAWフィルタは焼成の工程がないからです。

果たして生菓子でうまく再現ができるのでしょうか…?!


これからSAWフィルタに生まれ変わる予定の材料はこちらです。

(左上から時計回りに:ホイップクリーム、粉糖、チョコペン、事前に作っておいたゼリー、事前に作っておいたグレーのスポンジ生地、みたらし団子、出来合いのスポンジケーキ、アラザン、ホワイトチョコレート)

何やら得体の知れない材料がたくさんありますね。

完成品の姿の想像がつかない中、
いざ、SAWフィルタケーキ作りのスタートです!!


いよいよ製造開始!!

工程1. ウエハ洗浄

ウエハ(圧電基板:圧電材料からできた円形の薄い板)に見立てたスポンジケーキを回転台の上に載せ、霧吹きでシロップを吹きかけていきます。

SAWフィルタでは?
円盤の上にウエハを固定し、高速回転させながら上から水を吹きかけて洗浄します。


工程2. 回路(IDT電極)形成

金属材料に見立てたアラザン(銀色の糖衣菓子)を全体に乗せ、不要な部分を取り除き、ウエハ上に電極として“くし形”の模様を2つ作ります。

アラザンを乗せる前にシュガーアイシング(粉糖を少量の水で溶かしたもの)で
くし形模様を描いて、そこだけにくっつくようにしています


工程3. 配線形成

グレーのチョコレートで作った配線(電極シート)を、各回路の両端に重ねていきます。

SAWフィルタでは?
フォトリソグラフィー」という手法を用いて、かくかくしかじかして(企業秘密のため言えません…)、くし形の回路(電極パターン)を形成していきます。

ここがポイント!💡

この工程を担当しています!


工程4. 保護膜形成

保護膜として事前に作っておいたゼリーを乗せて、ウエハ全体を覆います。

実際のSAWフィルタの保護膜は無色透明ですが、
視認性向上のために着色しています

SAWフィルタでは?
金属でできた電極を大気や物理的ダメージからまもるために、「保護膜形成」をおこないます。

このようにして、微細な電極パターンをウエハ上に形成しています。

そしてここでは、ムラタのコアテクノロジーのひとつである「薄膜微細加工」が欠かせません。

ムラタのコアテクノロジー「薄膜微細加工」

「薄膜微細加工」とは?
薄膜微細加工とは、とても小さな範囲に対して細かく正確な加工を施す技術です。
この技術を用いると、なんと、お米1粒に約100万文字(文庫本5冊程度)も書けてしまうんです!

そんな薄膜微細加工は、「クリーンルーム」という高い空気清浄度が確保された部屋で行われています。

電子部品は微細なごみやほこりがあると、電極がうまく形成されず、特性や品質に異常をきたしてしまいます。

また不純物だけでなく、温度や湿度、工場内の照明の光まで厳格に管理することで、高度な薄膜微細加工を実現しています。

このような技術と設備を組み合わせることによって、ムラタでは100万分の1メートル以下の微細な加工も行うことができるのです!✨


前述の通り、お米1粒に約100万文字も描くことができるほど、高い技術を誇るムラタの薄膜微細加工。

このすごさを証明すべく、人間の手でお米に文字を書いたらどうなるか試してみました!

刺繍針の先に墨汁を付けて文字を書いていきます
人間の手では、2文字が限界でした。(※結果には個人差があります)
100万文字という数字が大きすぎて、理解が追いつきません。


さて、SAWフィルタケーキの制作に戻りましょう。

工程5. バンプ形成

工程3で乗せた配線の角にある四角い部分が見えるように、ゼラチン(保護膜)をカットして8か所に穴を開けます。

そこに、バンプ(SAWチップとセラミック基板を繋ぐための電極)に見立てたみたらし団子を乗せていきます。

約1cm四方の小さな穴を慎重にカットしていきます

SAWフィルタでは?
電気回路を形成するために、端子部(SAWチップとセラミック基板をつなぐ部分)の保護膜を取り除き、バンプを形成します。


工程6. ダイシング

それぞれのパターン(回路を形成した基板)の周りを四角くカットします。

パターン同士が近いので、かなり慎重にカットしました…!

SAWフィルタでは?
それまでの工程で作ったSAWチップ(1つずつの製品)を、専用のブレードを使って1つずつのチップにカットします。

ここがポイント!💡

この工程を担当しています!


工程7. フリップチップボンディング

基板に見立てたグレーのスポンジ生地(事前に作っておいたもの)を用意します。
プレーンのスポンジ生地を、端子に見立てるために1cm四方の小さな四角にカットして、グレーのスポンジ生地に8つ並べます。
工程6でカットしたものを裏返して置きます。(みたらし団子のバンプが端子部分に当たるように)

SAWフィルタでは?
カットしたSAWチップの裏表を反転させてセラミック基板に接合し、端子とバンプを密着させます。

ここがポイント!💡

この工程を担当しています!


工程8. 樹脂封止

樹脂に見立てた黒色のクリームで丁寧にナッペ(コーティング)していきます。

SAWフィルタでは?
SAWチップを搭載したあとのセラミック基板全体を樹脂でコーティングし、封止します。


工程9. 捺印

チョコペンでムラタの製品であることを表すマークを描きます。

SAWフィルタでは?
ムラタマークや製造日、Dot Mark(製品の向きを示すもの)、製品コードをレーザーでマーキングします。


工程10. ダイシング

中のウエハや電極を切ってしまわないように気を付けながら、中心をカットします。

SAWフィルタでは?
1つずつの製品に切り分けます。


ついに、SAWフィルタケーキの完成です!!!

これは正真正銘、SAWフィルタケーキですよね!おいしそう!


工程が多く、事前準備も含めるとものすごく時間がかかりましたが、なんとか形にすることができました…!

今回はひとつの生地から、2つのSAWフィルタケーキを作るのがサイズ的に限界でした。
しかし、実際のSAWフィルタの製造工程ではひとつのウエハ上にものすごく小さな電極が大量に形成され、SAWフィルタとなっていきます。

複雑かつ緻密な工程の中で求められる高度な技術が、高品質・高性能な電子部品を生み出し、私たちの生活を豊かにしているんですね!


通信・センサ事業本部の本部長にインタビュー!🎤

完成したSAWフィルタケーキを、実際のSAWフィルタを世界にお届けしている通信・センサ事業本部の泉谷本部長へプレゼントしてきました!🎁

事前情報をあまり知らされていなかった泉谷本部長は、思わず「何これ?!」と一言

 

ドキドキの実食…!
「意外といけるな!」という感想に胸をなでおろしました

Q. SAWフィルタケーキはいかがでしたか?

Q. ムラタのSAWフィルタ、そしてモノづくりへの想いを聞かせてください


SAWフィルタを製造する「金沢村田製作所」とは?

金沢村田製作所について

設立:1984年8月(創業1985年7月)
事業内容:通信機器や家電、自動車などに使用される高周波電子部品及びセンサの開発・設計・製造、樹脂多層基板の製造
従業員数:2,660名(2024年5月現在)
所在地:(金沢事業所)石川県白山市曽谷町チ18番地
    (能美工場)石川県能美市赤井町は86番地1
ウェブサイト:https://corporate.murata.com/ja-jp/group/kanazawamurata

金沢村田製作所は、今回ケーキ作りで製造工程を再現した「SAWフィルタ」を製造する事業所です!

ケーキ作りの前に、レシピ研究のため金沢村田製作所にやってきました!

金沢村田製作所と地域とのつながり

ムラタの創業者の理念である「そこにムラタがあることがその地域の喜びであり誇りであるように」をありたい姿として、金沢村田製作所でも地域社会との共生のためのさまざまな活動に取り組んでいます。

■金沢美術工芸大学とのコラボ企画 冬季イルミネーション
毎年11月~2月初旬に、イルミネーションを構内で実施しています。金沢美術工芸大学の学生さんに構想・企画・デザイン施工時の監修まで行っていただくコラボ企画で、今年で4回目となります。

独創的かつ魅力的なデザインで、一般見学会に参加された地域の方や従業員から毎年好評です!(写真は2023年度の様子)

■事業所周辺道路への花植え
周辺地域の方や従業員に心地よく感じていただくことを目指し、事業所周辺の道路(道路延長630m、112ヵ所)にお花を植えています。

6~11月は夏・秋の花、12~5月は冬・春の花と、
年間を通じてお花を楽しんでいただけるようにしています🌼

■農業支援
農業の人手不足の解決の一助となることを目的に、従業員が副業として休日に農作業に従事する取り組みを行っています。今年度は、オクラの収穫・選別作業とスイカの集出荷場での荷卸し作業に参加しました。

継続・改善を重ねつつ、新たな地域貢献活動のモデルケースとして他拠点にも展開されることを目指しています。

農場からは、繁忙期の農場の従業員の休日が確保できたとの声もいただきました!

■スポーツ協賛
B3リーグの地元チーム「金沢武士団(カナザワサムライズ)」のスポンサー支援や、石川県の最大級スポーツイベントである金沢マラソンなどへの協賛を行っています。

(写真左)金沢武士団のスポンサー支援では冠大会や従業員参加型の交流イベントも開催!/
(写真右)金沢マラソンでは従業員が給水ボランティアにも参加しています✨


総務課メンバーへのインタビュー!🎤

金沢村田製作所の総務課でさまざまな活動に取り組むおふたりに、インタビューしました!

Q.金沢村田製作所の魅力を教えてください!

Q.地域貢献活動への想いを聞かせてください!


さいごに

今回の記事はいかがでしたか?

この記事を通じて、ムラタのSAWフィルタや技術力について知っていただき、より身近に感じてもらえていると嬉しいです✨

次回もお楽しみに!😊