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「早く知る」よりも「長く考える」
企業の人と打ち合わせをしてて、
「絵を見ることとリーダーシップはどう関係するんですか?」
と聞かれた。
なぜビジネス研修で絵をみるの?
大隈塾では、美術館で絵を見て、考えて、仲間と対話するコンテンツがある。
絵をみるには時間がかかる。
これはなんだろうか、何を伝えたかったのか、と考える時間が必要で、
それは絵のそばにあるキャプションを読んで、
その文脈に沿って絵をみて、
なるほどそうなのね、と正解探しをするのとはまた別の絵の見方。
長く考える、トレーニングのひとつとして絵を観る。
瞬時に理解し、瞬時に判断するのもリーダーシップには必要だが、
その逆の「長く考える」のもリーダーシップにとって大事なこと。
「知る」と「考える」
『考える教室 大人のための哲学入門』で、
デカルトの『方法序説』からこの部分を抜き出している。
ある種の精神の持ち主は、他人が二十年もかかって考えたことすべてを、二つ三つのことばを聞くだけで、一日で分かると思い込み、しかも頭がよく機敏であればあるほど誤りやすく、心理を捉える力も劣り、
著者の若松英輔さんは、こう書いている。
他人が二〇年かけて考えたことは、私たちも二〇年かけて考えてみる必要がある。せめて、その準備をしなくてはならない。この本(『方法序説』)を読んで学ぶべきことは、「早く分かる」ということではなく、「長く考える」ことです。早く分かろうとすることは、叡知に対する冒瀆だとすらデカルトは感じていたように思います。
現代人には、たくさんのことを早く知りたがる性向があります。でも、デカルトが私たちに教えてくれているのは、「早く知る」というよりも「たしかに知る」「深く知る」ことの意味です。
この本は、
プラトンの『ソクラテスの弁明』から「対話」することについて(第1章)、
デカルトの『方法序説』から「考える」ことについて(第2章)、
ハンナ・アーレントの『人間の条件』から「働く」ことについて(第3章)、
吉本隆明の『共同幻想論』から「信じる」ことについて(第4章)、
読む人に考えさせようとしている。
仕事でも生活でも、正解はたくさんある。
『考える教室 大人のための哲学入門』若松英輔 NHK出版 2019年(電子書籍版)