むにみずべ 愛媛編01 瀬戸内しまなみ海道
気がつけば8月もラストです。台風が去ったらどこに行くか。水辺好きとして、避けては通れない自転車による瀬戸内海横断。
これ知っていますよね?
世界のSHIMANAMI KAIDO
世界にその名を轟かす、しまなみ海道。
白いムチムチボディーでレストランに星を授けるミッシェランガイドも、
ロンドンから陸路でオーストラリアまで行く破天荒な新婚旅行をきっかけに刊行されたガイドブック、ロンリープラネットも、
その素晴らしさを無視できませんでした。
そしてアメリカCNNが選んだ、世界7大サイクリングルートでは、
カナダからアメリカのメキシコ国境まで行く4,400kmのコース(?)、イギリスやノルウェーに囲まれる北海一周6,000kmのコース(?)など、
あまりにも激しく巨大で、アドベンチャー過ぎて、もはやサイクリングコースと呼べるのかも分からないものに並び立ち、
わずか60kmのここ、しまなみ海道がランクインしているのです。
けれども、しまなみ海道が世界を魅了するのには長い道のりがありました。
バリィさんじゃなくて閑古鳥がやって来たしまなみ海道
バリィさんは、今治市のゆるキャラで、2012年のゆるキャラグランプリで優勝。ひこにゃん、くまもんと並ぶ大御所です。
その風貌は大御所らしく、今治タオルを腹に巻き、頭にはしまなみ海道の橋を抱いた鳥。そうバリィさんはしまなみ海道を支えているのです。
しかしバリィさん誕生の数年前、開業から5年ほどたったしまなみ海道に来たのは、可愛いバリィさんではなく、閑古鳥でした。観光客は来ないのに住民は出て行く…
そこで立ち上がる姉妹都市の尾道と今治。今治市を擁する愛媛県では、サイクリストの加戸守行県知事がとても素敵な発言をしたようです。
乗り捨てできるといいですね
さぁいよいよ、2県をつなぐ生活の道だったしまなみ海道が、世界のSHIMANAMI KAIDOになるべく動き出します。
そうここではレンタサイクルで瀬戸内海を横断し、乗り捨てできるのです。
完走できるか不安な10代の修行
しまなみ海道に行った学生時代は、日々大学と家の間500mくらいしか漕いでいない生活でした。一緒に行くムニフレンドと、60kmも漕げるのか心配になり、中学時代から愛用するママチャリで修行することにしました。
大学の札幌からスタートし、山の中を突っ切り支笏湖に行って翌日帰るちょうど片道60km×2日の修行です。
(何とも若い…10代のやることは意味不明です)
ぐちゃぐちゃになりながらも、往復120kmを乗りこなし、準備はできました。
いよいよ向かう先は瀬戸内海、しまなみ海道。
海越えは渡し舟から
迎えた当日、天候は曇りのち雨の予報…
くしくも広島ではこの年記録的な大雨で土砂災害も起きるなど、不穏も募る中での出発です。
しまなみ海道の本州側、広島県尾道市からスタートすると、最初の向島には船で渡ることになります。
いかにも、島を渡るしまなみ海道に相応しい素敵な渡し舟は一瞬で向島に到着。こんな感じで島を渡るなら余裕だぜと、この時はしまなみ海道の本当の姿に、気がついていませんでした。
これ以降しまなみ海道は、島を橋で渡ります。この橋がクセモノなのです。
遥か頭上で島を繋ぐ橋
始まりの島、向島から次なる因島へは、因島大橋を通ります。トラス橋の中を突っ切るサイクリングロード、なんとここは海抜58mにあります。
しまなみ海道は島の中では海岸線を走り抜け、海を渡るときだけ、遥か頭上にかかる橋まで登らないといけません。
そもそも60km漕ぐのも必死な一般人にこのヒルクライムは洒落になりません。しかし、そこには絶景が待ち構えています。
中でも圧倒的なのは来島海峡大橋です。
海を渡るフィナーレ、感動の絶景
来島海峡大橋は、広島からだと6つ目の大島と四国を繋ぐ橋です。つまり本州から始めた人にとって海渡りのフィナーレがここなのです。
そもそもこうした海峡にかかる長大橋の多くは車でしか渡れない場所が多く、自分で漕いで初めてその巨大さを肌で感じることができます。
朝っぱらから眠い目を擦って、雨雲と追いかけっこをして、途中追い付かれ川と化した道を駆け抜け、アップダウンを繰り返し、
ついに最後、夕焼け空に吊橋がそびえ立つのをみた時、こんなにも風景は美しいのかと感動しました。
そして人生初の四国上陸。いつの間にか10年も前の記憶になってしまいましたが、今でも鮮明にその感動は覚えています。
それだけじゃあない、しまなみ
さて華々しくフィナーレを書いてしまいましたが、それだけではありません。
レンタルサイクルで1日で抜けようと思っている一般人の皆様は、基本的に体力や時間に余裕がありません。特に我々はその日のうちにJRで松山まで行き、道後温泉で疲れを癒す予定だったので、さらに時間がありません。
それでも、しまなみ海道には数えきれないほどのスポットがあります。行かれる一般人の方、どこかの島でぜひ一泊をご検討ください。
我々が大雨の中、気合いの漕ぎで生み出した時間を使ったのは、大三島。
大三島以外にも、たくさんの素敵なスポットが点在、最短距離で突っ切るにはあまりにももったいない島々です。
(なかには、むにみずべになりそうな場所も…なぜ行かなかったんだ…もうなかなか行けないじゃん…)
ともあれ、絶対に忘れられない体験になるしまなみ海道。その後に入る道後温泉は、本当に、格別です。
以上、世界が認めたしまなみ海道、瀬戸内海横断でした。少し暑さも和らぐ頃、ぜひ修行でもして行ってみてください。
あ、バスでも車でも渡れるので、修行できないよって方はご無理なさらず。