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【20日目】『一番目のモトあつめ』の正体とストレス(セカイのトリセツ)

◆三つのパーツと「ストレス」

 宇宙の時間や空間の構造と人間のストレスとの関係、というワケの分からない話になってきました。そんなもん、何の関係があんねんな? とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
 ですが、ココロが「モトでできている」ことと、宇宙そのものが「モトでできている」ことを考えると、これらには大きな関係があると分かってきます。本当です……。

 ついでだからストレスの原因である【アタマとココロのケンカ】について、ここでちょっと復習しましょう。

 まず、僕たちは【三つのパーツ】=「カラダ」「ココロ」「アタマ」の集合体、でしたね。ココロとアタマは見分けるのが難しいですが、モトの量に応じて自動的に感情を出してくるのがココロ、それについてごちゃごちゃ考えているのがアタマ、という分類をしています。
 このようにココロとアタマは別のパーツなので、状況に応じて出してくる結論が違うから「ケンカ」することがある……これが【アタマとココロのケンカ】と僕が呼んでいる状態です。ここまでは、入門編でご紹介した内容です。

 では新しい話を。どうしてアタマとココロは「違う結論」を出すのでしょうか?


◆モトあつめと【アタマとココロのケンカ】

 これまでの『モトの話』で何度か書きましたが、ココロというものは「モトを集めたい」という欲求だけで動作します。これは前に書いた通り、ココロというものが

「宇宙のゴール」に合わせて『設計』されているから

です。そのゴールというのが、この地獄世界=三次元空間のすべてを【有】のモトで満たすこと、でした。
 ただし、ココロのモトには「注目したものに飛んでいって、減ってしまう」という性質もありますよね。なぜ普段「モトあつめがしたい」と思っているココロは、何かに注目するときにあえてモトを減らすのでしょうか。

 実はこれは、自分の身の安全を脅(おびや)かすものに「怖い!」という思いをいだくためなんです。
 自分の身を脅かすような危険なものに注目したときに、ココロはそちらに向かってモトをどんどん飛ばします。そうすることによって自ら【好き嫌いゲージ】を下げ、自分自身に「嫌な気持ち」をいだかせることで、あえてココロが「カラダを安全な場所に動かしたくなる」ようにできているんです。
 僕たち生き物は「なんだか嫌だなあ」と感じるものは避けたくなるものです。そして思い出してほしいのですが、「恐怖」という身を守るための感情のメカニズムは『相手に注目しすぎてモトがスッカラカンになったときの気持ち』でしたね。まあここまでいかなくとも、これらは「注目したものにモトを飛ばした」結果として「モトが減る」=「好き嫌いゲージが下がる」という仕組みがあるから可能な、ココロの「危険回避」のメカニズムなんです。

 一方で、もしその「怖いもの」がこちらに本当に襲いかかろうとしているのだとしたら……このとき逆の立場である『怖がらせた方』のココロは相手から飛んできたモトを受け取るので、なんとココロの量が増えてしまいます。この「モトの増加」がココロの欲求(モトあつめがしたい)に合致しているので、僕たち人間は他の人間を怖がらせたり、嫌な思いをさせたりすることで「満足」することがあるのです。
 実は、これが『一番目のモトあつめ』の正体なんです。ですから一番目のモトあつめ……相手に注目させることでモトあつめをするときに、一番効率のいい方法はなんと「相手を恐がらせること」だったりするんです。

 ひるがえって、ココロには『二番目のモトあつめ』という性質もあるのでしたね。これはココロをモトで満たすことで「周囲の空間の【無】モトを【有】に変える」という高度なモトあつめです。
 確かに一番目のモトあつめをするとココロが満たされるので、周辺の空間に少しだけモトが増えます。ですが、だれかに同じように一番目のモトあつめを「される」と減るし、じっとしていても空腹や孤独感でモトは減ります(初級編参照)。それに、モトを「奪われた相手」は自分のココロのモトの量を減らしているので、宇宙の目的である『すべての空間を【有】のモトで満たす』のには効率が良くないことになります。
 オカネのトリセツ(中級編)で『ゼロサムゲーム』という話をしましたが、この一番目のモトあつめはゼロサムゲームだから、宇宙から見ると全体的にモトは増えも減りもしないんです。だからこそ、僕たちが「幸せなジンセイ」を歩みたければ、意識的に『二番目のモトあつめ』をやりましょう、と書いてきたわけですが……

 ここで【アタマとココロのケンカ】が起こるわけです

 ココロは「モトあつめをしなさい」と命じてきます。そのときにもっとも手っ取り早い方法『一番目』を要求してくることが、しょっちゅうあるのです……暴言でも暴力でも何でもいいからとにかく「気を引きなさい」と。
 一方で、『二番目』をやったほうが「より多くの人が幸せになる」(その場のモトが効率よく増える)という計算ができるのは【アタマ】の方です。だから
「最後に残ったお菓子を食べてしまいたいけど、場の雰囲気が壊れてしまったら嫌だな」
という【アタマとココロのケンカ】が起こるわけです。経験ありますよね……それもしょっちゅう。これがストレスと呼ばれる現象の原因です。


◆【アタマ】は「なぜ」「ある」のか

 入門編でこの【アタマとココロのケンカ】の話をしたとき

「世の中で『良いこと』と言われていることがなぜ『良い』のか理解するためには、モトのもっと深い知識が必要だ」

入門編【14日目】「習慣」と「心配」のメカニズムとモト

と書いたのですが、実はこんなふうにエキスパート編で宇宙とココロの関係について話さないと、全部は語れない内容だったんです……あのとき書いてもちんぷんかんぷんだったはずです。

 で、どうすればいいのか? という話です。やっとここまで来ました……大事なのはここからです。

 【18日目】から【アタマ】について書いています。今回は復習と補足が多かったのですが、実は僕たちになぜ【アタマ】というパーツが付いているのか? という話がしたかったんです。もしこんなややこしいものがなかったら、僕たちはアタマとココロのギャップによるストレスで苦しい思いをしなくていいはずですからね。
 ですが先ほど書いたとおり、ココロだけに従っていると最終的に「モトが増やしづらい」んです。ココロはいつも手っ取り早い『一番目』を要求してくるからです。
 その、ココロから出る「手っ取り早い方法」(ぶん殴って全部奪えばいいじゃん! という野蛮なやり方)への欲求に『逆らう力』……それこそがもっとも重要な【アタマ】の働きなんです!

 二番目のモトあつめには「アタマが重要」だと、上級編でも何度も書きました。なぜなら、僕たちが宇宙のゴールに向かって、宇宙の仕組みにそって、より早く「幸せなジンセイ」を達成するためには、この【アタマ】という

ココロに逆らう力(ちから)

がとても重要だからなんです。


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「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)