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おとなになりたくない理由、それはセンス・オブ・ワンダーにあった
おとなになりたくないな。
それをおとなになる頃に確かに感じて、そして今24歳という年でも思います。
でもそれは働きたくないとか、家庭を持ちたくないとか、そういうこととも少し違うんです。現に週5じゃなくて週4になればいいとは思うけれど仕事もそれなりに楽しんでいるし、自分で稼いだお金で好きな場所を飛び回れるのは私にとって最高の自由ではあります。
じゃあ、何が嫌なんだろう。
それはずっと私の中に問いとしてありました。
つまらないおとなになりたくないと思います。
じゃあつまらないおとなってなんなんだろう。
日常に楽しみを持っていない人。
死んだように生きている人。
いやいや物事をしている人。
あの頃は良かったって昔を振り返るばかりの人。
大学生を人生の最後の夏休みっていう人。
結婚を墓場という人。
自分のことが好きじゃない人。
そんな大人になりたくない。
そんな、見るからにつまんなそうな人生、私はごめんだね。そう思っていました。
でも、そういう人達が本当に失っていたものが何かは言葉にできていませんでした。感覚としては、わくわく。胸のときめき。未知への好奇心。
それにぴったりと当てはまって、すとんと落ちる言葉に最近出会いました。
もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。
この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。
『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン p.34−35
私がおとなになりたくないと思っていたのは、まさにこれではないでしょうか。
私は倦怠と幻滅に摩耗されていないでしょうか。まだ日常のちょっとした出来事に喜びを見つけられるでしょうか。静かな季節の移ろいに気づき、驚く力を忘れていないでしょうか。
時間に追われて都会の電車に揺られている時、私は心のスイッチがオフになっていると感じます。見慣れた車窓風景に聞き慣れた列車の揺れる音。人工的な灰色と、できれば目に入れたくないたくさんの汚れ。
そんな中で生きていたら、たしかに一瞬一瞬、感じる力は衰えていくでしょう。そしてそれを必要ともしなければ、わたしたちの中にあったみずみずしい繊細さは失われてしまうのかもしれません。
わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭を悩ませている親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。
p.36
知ることは感じることの半分も重要ではない。
それはなにか重要な問いのように思えます。
わたしたちはおとなになるにつれて、知らないことを恥ずかしいと思います。みんながそれなりに知りすぎて、それで測られることが増えすぎるのかもしれません。
このひとはどれだけ感じる力が強いかなんてほとんどの場所では気にされないけれど、どれくらい知識があるかで評価されるようになるからです。
知っていることであぐらをかきはじめたら、実はもうほとんど感じられなくなってしまっていることもあるでしょう。
知るというフィールドで戦い続けるから苦しくって、感じる世界をみたらもっと広くて自由なのに。
実際には感じる世界だけで生きていくのは難しいことです。だから普通に行きていたら、知の世界の中で繰り返される日常にただパズルのように当てはまって生きることは省エネで効率的なんです。
でも、わたしたちの日常にはたくさんの種がまかれています。
美しいもの。驚き。感謝。畏れ。
自分が見ている世界の中で力を持てたら満足なおとななんて、つまらないと思います。だって、まだ知らないことの溢れる世界の中で、自分はたくさんの命の中のひとつだから。それを感じられない心を羨ましいとは思えないから。
年をとってもその感覚を忘れないこと。センス・オブ・ワンダーを磨き続けること。
そうすれば「おとな」ってもっと楽しいのかもしれません。
おとなになりたくないと思っていたけれど、それは自分の生き方次第なんだと思います。
センス・オブ・ワンダーを持ち、好奇心と感受性に溢れたチャーミングなおとなになりたいものです。
新しい目標をもたせてくれたこの本に、感謝を込めてこの文章を書きました。
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