20代、こんな絶望でもまあいいのか/『20代で得た知見』を読んで
絶望の時代に生きていると思っていた。絶望の20代だと。
というか、実際に読了後の今もその感覚は拭えていない。日本のニュースを垂れ流していると気が狂いそうになる。お前たち若者なんて幸せになるな!奴隷になれ!と言われているのではないかと錯覚する。
脱却する糸口も特段見つからず、リモートワークで目を虚にさせていた私は形容し難い焦燥感に駆られていた。もうだめかもしれない、だめになっちゃう、と。ところがこの本を読んで、20代なんて最悪でもいいのかと、ほんの少しだけ楽になった。
一向にニュースは明るくならない。このキリキリとした痛みを引き受けてくれる人はもはや誰もいない。声は届かない。夢は叶わない。それを一手に引き受けて、でも諦めることをまだ学んでいなくて、だからこそゆるい絶望が続いてしまっても、私たちはこれからも生きるんだろう。
でも、それなら最悪の20代を、私はこれからも往生際悪く文章にしてやろうじゃないか。
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20代で得た知見。周囲にお勧めしている人が何人かいたから読んでみた。
明日からも頑張るぞ!とは思わなかったけれど、少なくとも文章は進んだ。なんとなく、愛するものはちゃんと愛してくだらないことを積み重ねて、で、そんなふうに生きようと思えた。それがよかった。
だって、一過性のエンジンよりよっぽど素晴らしい。
明日から一生懸命頑張らないといけないと、ありもしないエンジンをふかすような自己啓発本はたくさんある。でも、「あの人にちゃんと好きと言わないといけないな」と連絡したい人の顔が浮かんで、それに救われて明日起きるのが少し憂鬱ではなくなるというただそれだけがいい。
これって、救われたということだろうか。
そんな大袈裟なもので言い表したら嫌がりそうな著者だが(独断と偏見)、私が眠りにつく前に感じた微かな軽さは、きっとそういう類のものだ。
ちなみに、こんなミーハーな締めで良いのか迷うが、結構おすすめである。
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備忘録として