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小説「芙美湖葬送」順不同・読み切り版
4医師は時間の問題といった
間隔が空きました。欲張って、年寄りの冷や水で,同時並行で「芙美湖葬送」「死ぬ準備」「童女トン」など三本を掲載しているので、いささかへばってしまいました。だめですね。老人はコンロールが利かない。前後ダブっていることもある。でも妻が死んで今年で20年、墓標だと思って書き続けます。料金は100円になっているけど無料です。月ぎめにしたい。でも老人だからクレジットがない。デビッ
小説「芙美湖葬送」読み切り版
明け方に気温が下がり始めた。
霧が病院全体を覆い始めた。乳白色の霧が、汚れた病院の外壁を少しだけ白く塗り替えている。私が立っている最上階の病棟洗面所からは、普段は、付属看護学校棟が見えるのに、その朝は、何も見えなかった。 かすかに建物の存在を感ずるだけである。昨夜はあれほどハッキリ見えた駐車場の車も、霧の中で霞んでいる。その中の一台で、娘の琳子夫婦が仮眠を取っているだろう。昨夜九時頃、医師と長
小説「芙美湖葬送」読み切り版
心静かに死なせたかった
昨夜も、主治医とは、二回目の器官挿管をどうするかについて話し合った。肺炎菌や、緑膿菌の他に、さまざま細菌が肺を侵しているから、もう自己呼吸が出来ない。器官挿管して、人工的に酸素を送るしかない。
しかしそれも一週間が限度である。
挿管と接触した部分に炎症が起きるから。一週間したら抜管して、新しいパイプと取り替えなければならない。その時にまた苦しむ。その苦しみを見てい
小説「芙美湖葬送」仮目次&執筆資料
以下は小説「芙美湖葬送」の構想・構成・テーマ・展開・物語・登場人物・当時の社会背景・などの書き置きメモす。小説掲載に並行して事前公表します。参考までに。
テーマ
①妻の死を語ることで医療を語る。
②妻の病を語ることで生と死を語る。
③妻の死を語ることで戦争、社会、不幸、格差を語る。
④妻の死を語ることで人生を語る。
⑤妻の死を語ることで未来を語る。
①戦争がなかったら空襲も疎開もなかった。疎開
小説「芙美湖葬送」・順不同版
あれから60余年が過ぎた
街も人も風景も変わった。私も八十六歳になった。幾つかの大病を抱えている。あと十年は生きたいと思うけど、そうはいかないだろう。人も街も風景も変わった。若者は長身になった。女性の活躍は目覚ましい。でも喋っているのは日本語じゃない。何処の言葉だと聞かれても困る。
意味は通じる。でもこころが伝わらない。
全く別な国になった。異郷である。その異郷で死ぬ。だから死後にこだわらない
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