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【1】初めての、英語でのカウンセリング業務

 内閣府による青年国際交流事業の1つ、「東南アジア青年の船」(SSEAYP、The Ship for Southeast Asian and Japanese Youth Program)にカウンセラーとして参加した時のことを、記憶が薄れないうちに書いていく。
 シンガポールへ戻ってきたのは12月頭。そこからすぐに新しい仕事が始まり、少しバタついている。今回は、事業概要とカウンセリング業務の内容を記すにとどめ、【2】ではよりカウンセリングに踏み込んだ記事を書く予定。もちろん、守秘義務違反となる内容は伏せる。


「東南アジア青年の船」
(SSEAYP、The Ship for Southeast Asian and Japanese Youth Program)とは

 実は採用されるまで知らなったのだが、「東南アジア青年の船」は、大変歴史の長い事業だ。秋篠宮妃紀子さまも、結婚前に参加されていたそう。
 コロナ禍を経て、今年度は久しぶりの乗船&航海となった。

 「東南アジア青年の船」事業は、1974年のインドネシア共和国、マレーシア、フィリピン共和国、シンガポール共和国及びタイ王国の各国と日本国との共同声明に基づいて始められた事業であり、これら東南アジア各国(これに、1985年度からはブルネイ・ダルサラーム国が、1996年度からはベトナム社会主義共和国が、1998年度からはラオス人民民主共和国及びミャンマー連邦共和国が、2000年度からはカンボジア王国がそれぞれ参加)の積極的な参加と協力の下に、日本国政府(内閣府青年国際交流担当室)が実施しています。
 この事業は、日本と東南アジア10か国の青年が、「東南アジア青年の船」に乗船し生活を共にする中で、各国事情の紹介や討論を行うとともに、船内及び訪問国において各種交流活動を行うことにより、相互の友好と理解を促進し、あわせて日本の青年の国際的視野を広げ、国際協調の精神のかん養と国際協力における実践力の向上を図り、もって国際化の進展する社会の各分野で指導性を発揮することができる青年を育成するとともに、青年による青少年健全育成活動等の社会貢献活動への寄与を目的として実施しています。

内閣府『「東南アジア青年の船」事業』より

 The Ship for Southeast Asian and Japanese Youth Program (SSEAYP) was launched in 1974 as a joint project between Japan and ASEAN member countries, based on the respective Joint Statements issued between Japan and respective ASEAN member countries. The aims of the Program are to promote friendship and mutual understanding among the youths of Japan and the Southeast Asian countries, to broaden their perspectives on the world, and furthermore, to strengthen their spirit of international cooperation and practical skills for international cooperation. As a result, it is expected to cultivate the leaders of the next generation who are capable to exercise their leadership skills in various fields in the globalizing society. This year, the ship program will resume for the first time since 2019 and conduct various exchange activities onboard and in the countries to be visited.

「Outline of the 48th SSEAYP」より

 参加国は、日本+ASEAN諸国。すなわち、

  • 日本

  • ブルネイ・ダルサラーム

  • カンボジア

  • インドネシア

  • ラオス

  • マレーシア

  • ミャンマー

  • フィリピン

  • シンガポール

  • タイ

  • ベトナム

  • 東ティモール(New)

※今年は、東ティモールがオブザーバーとして初めて参加している。東ティモールは、2022年11⽉のASEAN⾸脳会議にてASEAN原則加盟が認められ、すべての会合にオブザーバーとして出席することが決まった

 参加青年(Participating Youth、PY)は、母国で事前研修や出航前研修を経て、本事業に参加する。恐らく既参加青年(Ex-PY)からのアドバイスもたくさん受け、下記の盛りだくさんの活動に臨む。

<船内活動>
ディスカッション活動
 複数の異なるテーマを設け、テーマごとに各国ほぼ同数の参加青年で構成されるグループに分かれ、ファシリテーターの指導によりディスカッションを行う。
事後活動セッション
 SSEAYPインターナショナル及び各国事後活動組織についての説明があり、事業終了後に行う社会貢献活動(Post Program Activity)案を企画する。
PYセミナー
 PYセミナー小委員会が調整役となり、共通の趣味と関心の追求を通じて、参加青年相互の自発的交流を図る活動を行う。
SG活動
 船内及び訪問国における活動の基礎単位として各国PYほぼ同数のグループ(Solidarity Group、SG)を組織し、PY相互の理解と友情を深めるための活動を行う。
各国紹介(National Presentation、NP)
 自国の文化・伝統・歴史・国民性・現在の青年を取り巻く環境等を紹介することにより、参加各国についての理解を深めるための活動を行う。
自主活動(Voluntary Activity、VA)
 明確な目標・目的を持った各種イベントやセミナーなどを参加青年が自由に企画・運営する活動を行う。

<訪問国活動>
・訪問国における活動は、各国政府及び各国受入委員会が計画し、実施する。各国受入委員会には各国事後活動組織のメンバーも含まれており、訪問国活動の実施においては、既参加青年が中心となって積極的な役割を担う。
・寄港地(ホーチミン、ジャカルタ)では、一般家庭でのホームステイ、政府要人への表敬訪問地元青年との交流、産業・教育・文化・社会福祉分野などの諸施設を見学する課題別視察などを行う。

内閣府『「東南アジア青年の船」事業』より、一部編集

 勤務が始まってから、私は既参加青年である管理部スタッフから、「東南アジア青年の船」そのものがASEANの共同事業であるため、ASEAN諸国の参加青年が国の代表として参加しているという意識を強く持っている、ということを聞いた。寄港地での活動において表敬訪問が多く組み込まれているので、「日本代表」として意識される場面が非常に多いのも特徴だという。確かに、とある参加青年が「自分が『東南アジア青年の船』に参加することが、地元の新聞で記事になった」と言っていた。この事業のお陰で初めて海外に出た、という参加青年もいた。彼ら、彼女らの「Honor」「Previledge」は、自己紹介やプレゼンテーション時の外交的な表現にとどまらないのだろう。

カウンセリング業務の概要

 普通に求人サイトに載っていた、レアな求人。発見したのは7月上旬だったか。

【業務内容】
・船上研修、寄港地活動中の参加青年・管理部員の精神面の健康の維持・促進
・参加青年に対するカウンセリングの実施および経過観察
・カウンセリングの記録および管理部員への報告
・管理部ナースや、事業で使用する客船の船医・ナースとの情報交換、連携
(必要に応じて)
・業務報告書の作成
・その他、事業の円滑な運営に必要な支援

PARTNER「2024年度『東南アジア青年の船』事業および
『世界青年の船』事業 心理カウンセラー」
より

【応募条件】
語学力
英語
技術資格
精神科医師又は公認心理士、臨床心理士、精神保健福祉士のいずれかの資格またはそれに準ずる資格を持っている者

PARTNER「2024年度『東南アジア青年の船』事業および
『世界青年の船』事業 心理カウンセラー」
より

締め切りが迫っていたこともあり、即応募した…けれども、

  • 今までソーシャルワーカーとして面談をしたことはあったが、「英語」で「カウンセリング」を行うとなると、勝手が違うのでは…

  • 単純に、支援職としてはブランクがある

と怖気づいていた私。(情報共有、連携は得意なつもりだが)
 結果的に、不安は杞憂に終わり、私自身もとても楽しい時間を過ごすことができた。続きはまた近々。

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