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門井慶喜『定価のない本』
世界屈指の古書店街 神田神保町。
戦後間もない時代、この本の街を舞台に一人の古書店主が商売仲間の死を追う探偵譚がこの物語。
作者は、2018年に『銀河鉄道の父』で第158回直木三十五賞を受賞した門井慶喜。
この物語で平和な時代における書物の力が問われるところは、ラーラ・プレスコットの『あの本は読まれているか』(創元推理文庫)にも通じるところがあり、本の街を舞台にしたところで更にそれを引き立たせていた。
実在した文士の姿もいくつか登場する作者の計らいも面白く、タイトルのセンスも冴えていて、本好きにもたまらない作者渾身の快作と言える。