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田村隆一『言葉のない世界』

吉本隆明に「日本でプロフェッショナルだと言える詩人が三人いる。それは田村隆一、谷川俊太郎、吉増剛造だ。」と評され、丸谷才一にも「別格」と言わせた田村隆一は、私も敬愛止まない勝手に師と仰ぐ戦後最高の詩人だ。
以前「大概の詩人は最初の詩集の出来こそが最良」と言ったが、田村隆一も処女詩集『四千の日と夜』と次作『言葉のない世界』の評価が高く、この『言葉のない世界』に所収される「帰途」は映画監督 園子温の『恋の罪』の劇中で用いられたことでより知られるに至った。
実は、洒脱なエッセイの方が認知度が高いのがこの詩人の悲しいところではあるが、『言葉のない世界』は、10篇41頁というコンパクトな詩集で、製作上から大抵20~30篇の所収が当たり前となっている世の詩集と比べ、田村隆一の質の高い技巧と10篇という適度な作品数は、最も理想的な詩集だと評価出来、私も自主製作で詩集を作る時は必ずこの詩集へと還っていた。
作品も「帰途」をはじめ、「天使」「雨の日の外科医のブルース」等、硬質で鋭い言葉を優しく投げ掛けて来る詩ばかりで、読む者をじりじりとシビれさせる稀有な言葉たちが収められ、今では全集頼みかWeb(下記)の掲載を探さなければ読むことが出来ない。
残念ながら21世紀に入り、この詩人を超える詩人が現れなければ、この詩人に挑もうとする詩人すら現れていない。


"Edge Special田村隆一篇 死よ、おごる勿れ" を YouTube で見る


今、田村隆一の詩が綺麗に読めるのはこのサイトぐらい。


田村隆一全集 1 (田村隆一全集【全6巻】) https://www.amazon.co.jp/dp/4309709818/ref=cm_sw_r_other_apa_i_W7r3Eb027X4CN


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