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1.【運動系機能障害症候群】MSI(Movement System impairment)とは?



1. 痛みの原因を解明するMSIとは?

リハビリの現場では、特別なきっかけが無く痛みが出たという患者さん・クライアントさんを担当することがあります
捻挫などの明確なきっかけがあれば、原因は明確です。
しかし、特別なきっかけがなく痛みが出た方は、画像所見などでも明確な問題がない場合も多いです。
このような方に、どのようなリハビリを提供すれば良いか、悩む方も多いと思います。
私も徒手療法を勉強して痛みのある部位へのアプローチを学びましたが、なかなかうまくいかないという経験をしました(私の技術不足もあったと思いますが)。
そんな中、運動系機能障害症候群(Movement System Impairment、以下MSI)に出会いました。
MSIでは、特別なきっかけがなく痛みが出た患者さん・クライアントさんの原因を解明し、改善のための考え方を学ぶことができます。
このブログでは、MSIについてわかりやすく解説することを目的としています。


ワシントン大学セントルイス校

画像はwikipediaより引用

https://ja.wikipedia.org/wiki/セントルイス・ワシントン大学

2. 運動病理学的モデルに基づく痛みとMSI

MSIはワシントン大学のシャーリー・サーマン先生を中心としたグループが、理学療法の分類・治療・予後予測をするために開発しました。
MSIには、運動病理学的モデルに基づいた分類と治療が含まれます。
運動病理学的モデルとは、普段の生活の中で何度も繰り返す動きや長時間とっている姿勢が、身体の動きの問題を引き起こし、痛みにつながるという考え方です。
運動病理学的モデルについては、後日改めて記事にします。
運動病理学的モデルに基づく痛みとMSIの介入手順は、以下のように行います。
1. 姿勢や身体の使い方の癖が関節の動きを変化させる
2. 痛みが生じる
3. 痛みが出る身体の使い方に基づいてグループ分けする
4. 身体の使い方の修正や、ストレッチ・筋力トレーニングを通じて改善する

3. MSIのトレーニング方法と効果

MSIは、”姿勢や身体の使い方の癖が痛みの原因になる”=”運動病理学的モデル”に基づいて、
その原因を見つけることを大切にしています。
姿勢や身体の動きの変化が、小さな痛みや動きづらさにつながり、大きな怪我や動きづらさにつながります。
姿勢や身体の動きの癖は、いくつかのグループに分けることができます
グループ分けを基に、それぞれの方の特徴や生活に合わせて身体の動きの修正の提案をします。

身体の動きの修正は、大きく分けて
・身体の使い方のトレーニング
・ストレッチ
・筋力トレーニング

などが含まれます。
順番に説明していきます。

1. 身体の使い方のトレーニング

MSIにおいて最も重要視している手法です。
普段の生活の中での姿勢や身体の使い方を修正することが目的です。
腰椎の屈曲が問題になる方で考えます。
普段の動作では股関節の屈曲が乏しく、腰椎の屈曲が過度に生じてしまいます。
普段の動作の中では、腰が丸まっていることが問題であることを自覚してもらいます。
その上で腰椎が安定し、股関節屈曲で動作ができるようにトレーニングを行います。
また、普段の姿勢では、座っている時に腰椎が屈曲しやすくなります。
浅く座らないよう意識してもらい、座面を高くする環境設定などで腰椎が屈曲する時間を減らしていきます。
このように普段の生活の中の動作や姿勢で、できるだけ腰が丸まってしまう時間を減らすようにトレーニングを行います。

2. ストレッチ

姿勢や身体の使い方の癖に合わせたストレッチを提案します。
例えば腰椎の屈曲が問題になる方は、太ももの裏のハムストリングスという筋肉が硬くなっている場合が多いです。
そのためこの筋肉を伸ばすセルフストレッチをお伝えします。

3. 筋力トレーニング

ストレッチと同様にその方に合わせた筋力トレーニングを提案します。
例えば腰椎の屈曲が問題になる方は、股関節の付け根の腸腰筋という筋肉が弱くなっている場合が多いです。
そのため、この筋肉を活性化するトレーニングをお伝えします。

これらの方法を用いてMSIでは身体の動きを修正する提案を行っていきます。

まとめ

今回は、「MSIとは?」について解説しました。
MSIは運動病理学的モデルに基づき、身体の動きを改善する事で症状の改善を図ります。
MSIを知ることで、特別なきっかけがなく痛みが出た患者さん・クライアントさんの原因を解決することヒントを得ることができます。
このブログでは、毎週MSIの基本的な考え方について解説していきます。

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