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【初心者編】人材アセスメントとは~ゼロから学ぶオンライン・アセスメントの基礎や種類・導入メリット・デメリット

人材アセスメントは、リーダーシップの現在では人材育成、採用や選抜など、企業が人材を評価する上で欠かせない手段の一つとなっています。また、人的資本開示が求められる世の中へ変化や、世界全体においてはビジネスマンが能力開発で選びたい手法第3位に昇るグローバル・リーダーシップ・フォーキャスト調査(GLF)2023年など、人材アセスメントの重要性が高まっています。

しかし、多種多様な人材アセスメントが存在し、その中から最適なものを選ぶことは容易ではありません。理解するにも一苦労なのではないでしょうか?

当記事を読むことで、人材アセスメントとは何か?といった基本的な内容や、人材アセスメントの種類、メリット・デメリットなどを理解することができ、自社に最適な人材アセスメントを選定するための基礎知識を身につけることができます。

専門的な分野である人材アセスメントを身近に感じ、ぜひあなたの会社の人材マネジメントに役立ててください!

*グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト調査(GLF)とは
世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業のDDI社が1999年から実施している、リーダーシップに関する世界最大の動向調査です。2023年版の調査では、世界50カ国以上、15,000人以上のリーダー・ビジネスマンと、2,000人以上の人事担当者が参加しました。
https://www.youtube.com/watch?v=qYE5opH4nDM


1.人材アセスメントの定義と目的

🔶人材アセスメントとは何か?

人材アセスメントとは、英語のassessment(評価)から来ており、「個人の能力や適性、性格などを客観的に評価すること」を指します。

元々は軍事用として米軍OSS(CIAの前身)において、スパイ養成のための人材選抜を目的に開発されたプログラムが起源です。米国AT&T社のダグラス.W.ブレイ博士がビジネス用に開発を行い、アメリカで広く用いられるようになりました。日本においては、1970年代に株式会社マネジメントサービスセンター(MSC)が「ヒューマンアセスメント(HA)」として初めて実施されました。今日でさらには発展して様々な手法で実施されています。

🔶オンライン・アセスメントとは

オンライン・アセスメントとは、インターネットを利用して行われる評価やテストのことを指します。社員育成、適性診断、昇進・昇格といった多岐にわたる分野で活用されています。オンラインでの実施により、地理的な制約を受けずに、参加者は自宅や任意の場所でアセスメントを受けることが可能です。また、結果の処理とフィードバックの迅速な提供により、効率的な評価プロセスが実現されます。

🔶人材アセスメントの目的は何か?

人材アセスメントの目的は、対象者の能力や適性を評価し、可視化した結果を活かすことで「人材の選抜や配置の最適化」「人材育成」を行うことです。

2.人材アセスメント導入のメリットとデメリット

🔶人材アセスメント導入のメリットとは?

①適切な人材の選抜ができる
対象者の能力や適性を評価することによって、適切な人材を選抜することができます。特に「採用」や「昇進昇格」、「人事異動」の場面において活用可能です。特定のポジションにおいて必要な能力が発揮できるか否かを事前に確認することでミスマッチを防いだり、別の職種での活躍可能性が高いのであれば配置転換をすることで、人材を最大限活用することに繋がります。

②効果的な人材の育成ができる
人材の特徴を把握することによって、効果的な能力開発ができます。能力の可視化によって、適切な能力開発計画を立てることや、効果的なトレーニングの選定に繋がるなど、能力開発を加速させるために活用することできます。

🔶人材アセスメント導入のデメリットとは?

①評価結果の不適切な活用
診断方法やツールによって、評価できる内容や限りがあるので、それぞれ向いている活用法、向いていない活用法が存在します。例えば、人事考査などで誤った人材アセスメント結果の活用された場合、能力の高い評価者を選ぶことができず、対象者の不満を招く結果にも繋がりかねません。

そのため、人材アセスメントの実施前には目的や得たい結果、活用方法をあらかじめ検討しておくことが重要です。

②コストがかかる
人材アセスメントを実施するにあたり、人的リソース、時間、金銭などのコストが発生します。

対象者の人数が多ければ多いほどコストも増えるため、目的や得たい結果とコストを踏まえ、費用対効果を事前に検証することが重要です。

3.人材アセスメント5つの種類とは

人材アセスメントは大きく5つの種類に分かれます。診断ツールを評価する時間軸に分けて説明します。

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①アセスメントセンター方式(シミュレーション)

実際の職務場面において個人の資質や能力がどのように発揮されるかを多面的・客観的に測定し、把握する手法です。ポイントは、「将来の職位・職務における行動発揮(準備度)を診断することができる」点です。

例えば「○○さんが課長として成果を出すための実力を備えているのか」を診断するために、仮想的な状況を作り出し、課題を与えて実際に対応をしてもらいます。それを、専門の評価者(アセッサー)が評価して診断を行います。

行動を見ることができるので、対象者の能力を綿密に知りたい場合に適しています。採用・昇進昇格・能力開発などいずれの場合の利用が可能です。

②診断テスト

選択形式で、「自身が当てはまるもしくは当てはまらない価値観を選ぶ性格診断」や「特定の職位や職務に関する知識や状況判断を問われるテスト」などがあります。

アセスメントセンター方式とは異なり、診断テスト形式では行動できるか否かは測定できません。採用・昇進昇格・能力開発など多くの場合で利用が可能ですが、採用・選抜・昇進昇格等で利用する場合には診断テストの結果だけで判断することは控え、人事評価やパフォーマンス評価などを複合的に合わせて判断することをおすすめします。また、能力開発のためのきっかけとして自身の能力を把握してもらう活用方法や、サクセッションプランのための活用がおすすめです

③360度診断

多面評価とも呼ばれる360度診断は、周囲で働く複数の人々に対し、パフォーマンスや行動に関する調査を行います。身近な人からのフィードバックのため、「現在の仕事の改善に向けた能力開発」に最も効果を発揮します。また、スキルについて自己評価を行うことで、自己認識と周囲の人からの認識がどのように異なるかを知ることでより良い能力開発に繋げることも可能です。

また、360度診断のみ、もしくはメインとして昇進昇格や昇給の判断を行うことは控えるべきです。評価のトレーニングを受けていない多くの人に主観的に回答してもらうので、評価の一貫性を保つことが難しいからです。

④行動面接

面接者が対象者に対して、これまでやってきたこと、どのようにやったのか、結果はどうだったのかなど過去のことについてインタビューを行う形式です。一般的に採用面接で活用されます。

行動面接は、面接者のスキルによって大きく質が変わります。したがって、面接者の能力開発、トレーニングを行うことが重要なポイントです。

⑤人事評価

業務目標に対して、どのように行動し結果を残し、貢献したのかを定量・定性で評価します。明確な評価基準を定め、どのように昇進昇格や昇給に反映されるかを明示することで従業員のエンゲージメントを高め、定着やより良いパフォーマンスを発揮してもらうことに繋がります。

4.人材アセスメントを導入する際のポイント

🔶目的と評価項目を明確にする

人材アセスメントの種類によって、診断結果から得られる内容が変わります(上記「人材アセスメントの種類5つ」参照)。そのため、効果的に活用するためには、「目的」と「評価項目」を明確に設定することが重要です。反対に、失敗する多くのケースでは「目的」や「評価項目」が曖昧であるが故に、適切な人材アセスメントツールの選定ができなかったり、アセスメント実施後に得たい結果が得られないなどの状況に陥ります。

🔶対象者へ目的や情報管理について伝える

人材アセスメントの対象者の立場から考えると、「何のために行うのか?」、「情報は誰に伝わるのか?」は疑問に思うポイントです。目的が不明確では、対象者の取り組み姿勢に差が生じて正しい結果が得られない場合があります。また、評価対象者の個人情報を適切に管理することで、評価対象者の信頼を損なうことがないようにすることが重要です。

🔶トレーニングやフィードバックを行う

人材アセスメントでは、対象者の強みやギャップ、自身の特性が明るみになります。いわば人間ドックのような形で人材アセスメントを実施して自己認識を深めてもらい、「トレーニング」や「フィードバック」を合わせることで、人材育成を加速させることができます。

5.まとめ

この記事をご覧になっていかがでしたでしょうか。改めて、重要な点を箇条書きでまとめます。

●人材アセスメントとは、「個人の能力や適性、性格などを客観的に評価すること」。

●人材アセスメントの目的は、「人材の選抜や配置の最適化」「人材育成」を行うこと。

●人材アセスメントは大きく5つの種類に分類され、それぞれ診断できる内容が異なること。

●人材アセスメントを導入する際には、「目的」や「評価項目」を明確にすること。

人材アセスメントについてさらに詳しく知りたい方は、「【実践編】人材アセスメントとは~オンライン・アセスメントの具体的な導入・実践方法」の記事をお読みください。人材アセスメントを実践するためのポイントを詳しく理解できます。

6.よくあるご質問(FAQ)

Q1:人材アセスメントの種類とコストの関係を教えてください。どのアセスメントがお金や時間、人などのコストがかかるのでしょうか?

A1:「アセスメントセンター方式(シミュレーション)」が最もコストがかかります。なぜなら、一般的には複数人の評価者(アセッサー)が稼働し、会場のセッティング、受講者の長時間の拘束など、運営側も受講する側も稼働が多くなるためです。

その次にコストがかかるのは、行動面接です。面接者の準備が必要になるためです。一方で、コストが比較的かからないものは、診断テストや360度評価、人事評価です。評価者が不要であったり、実際の行動を現場で見る必要が無かったり、web上で完結するためです。

Q2:どのようにして人材アセスメントを選べばよいですか?

A2:こちら(実践編)の記事をご覧ください。人材アセスメントを実践するためのノウハウの記載がございます。

Q3:人材アセスメントの適用範囲や限界について知りたいです。

A3:人材アセスメントの適用範囲や限界は、診断ツール・手法によって異なります。例えば、アセスメントセンター方式では、「行動できるか」を診断できますが、診断テストでは「効果的な行動を知っているか」までが診断範囲となります。

行動できるかと知っているかの間には当然大きな差がありますので、知っているというデータだけをもって、選抜の判断することはすべきでありません。行動できるというデータであれば、選抜の判断をしてもよいでしょう。このように、「測定できるデータは何か?」を踏まえて、適用範囲が決定されます。診断ツール・手法の特徴を理解しましょう。

Q4: 人材アセスメントを実施する適切なタイミングや頻度は何ですか?

A4:目的別にお答えします。
人材選抜の場合は、昇進昇格、人材配置、採用などをその都度実施するタイミングでよいでしょう。

一方、人材育成の場合は、トレーニングの実施前にアセスメントを実施して、本人の意向醸成のためのきっかけや、能力ギャップに気付く形での活用方法をおすすめします。また、能力開発実施後に効果測定として実施する方法もよいでしょう。ただし、あまり短い間隔での実施はおすすめしません。能力開発をするためには一定時間が必要なためです。

7.おすすめソリューション&コンテンツ

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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