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グローバルポジションを獲りにいく~グローバルリーダーの育成

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グローバル企業において、日本人は優秀な部下にはなれるが、グローバルポジションはとれないという事態が起きつつある。外国人、とりわけアジアの優秀なリーダーたちが、日系企業の重要ポジシ…
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リーダーシップ開発に向けたCEOのコミットメント

1.企業にイノベーションを起こすCEOのリーダーシップ今、日本の企業は、VUCA時代の真っ只中にいます。 特に、アジアを含めた新興国の台頭により、グローバル戦略も変わってきています。競合も今は同業他社だけではなく他業界が参入し、同業他社との競争優位性の視点だけでビジネスモデルを考える時代ではありません。さらに、顧客ニーズが多様化する中、いかに顧客価値を創出して企業価値を高めていくのか、など、ビジネスの考え方、アプローチの仕方、すべてにおいて過去の成功モデルが通用しなくなって

リーダーシッブ開発の成功

1.単発の能力開発プログラムの実施を見直すリーダーの能力開発プログラムは、単発の取り組みとしてではなく、計画された一連の能力開発の一環として位置づけられていると回答した日本の人事の担当者は、わずか33%しかいませんでした(グローバル49%)(グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2014|2015)。日本の人事担当者の約7割は、リーダーシップ開発プログラムを、単発で実施しているのが現状です。 また、グローバル全体の中で、人事/人材管理の責任範囲が3カ国以上におよぶ企業、

リーダーシップ開発に変革を起こす

1.リーダーの行動変容を促す日本企業が自社で企画しているリーダー養成プログラムには、「MBAや戦略立案」「リーダーとしてのマインドセット」、最近注目されている「リベラルアーツ」といったリーダーに必要な概念的コンテンツは、ほとんど網羅されています。MBAや戦略立案など、ビジネスのフレームワークに関する知識は、リーダーにとって必須の知識です。 しかし、一般的にMBAホルダーは、ビジネス感覚は優れていますが、一方で、重要とされるリーダーシップスキル(コーチング、人材育成、成果達成

人事が取り組むべき変革の優先事項

1.タレントの見える化企業の価値を分析する際に、「ダッシュポード(デジタルダッシュボード、経営ダッシュボード)」と呼ばれるソフトウェアを用いることがあります。 ダッシュボードというのは、企業の状態を可視化するビジネス管理ツールで、複数の情報源から必要なデータを集め、チャートやグラフなどで表示する機能があります。自動車のダッシュボードが、自動車の状態をひと目で把握できるようになっているところから命名されました。病院のカルテのようなものと言ってもよいかもしれません。 財務面の

日本の人事に求められる変革

1.人事こそ変わるここまで、日本人リーダーがグローバルポジションを獲るための課題、そして、グローバルで戦うためには、必要なリーダーシップスキルを開発することがいかに重要であるかを述べてきました。 現在、日本企業は「グローバルポジションを獲るリーダー」の輩出が、ビジネスのスピードに追いつくことができず、停滞中です。世界の中で、日本企業の競争力はこのままでは落ちる一方です。 世界で戦える人材が日本企業で育たないのは、日本の人事の在り方そのものに課題があるからです。ビジネス環境

ヒューマンニーズを満たすスキル~基本原則とは

1.メンバーから信頼を得られるコツとは効果的なリーダーシップには、メンバーの自尊心を尊重し、共感的に耳を傾け、積極的な参画を促すなど、信頼関係を築くためのスキルが求められます。リーダーが多様性を活かし、メンバーから信頼を得るための5つの重要なポイントについて解説します。 ヒューマンニーズに応えるためのスキル、基本原則があります。 ①自尊心を大切にする 対話の相手の「自尊心」を大切にするということです。相手が大切にしている価値観やプライド、認められたいという気持ちに敬意を

グローバルビジネス環境における対話力・フィードバック力の重要性

1.質の高い「対話」日本は、ハイコンテクスト文化です。「コンテクスト」とは、対話するうえでの話す側と聴く側との間のコミュニケーションの基盤になっている共通の知識や体験、価値観などのことです。日本は、共通のコンテクストがたくさんありますから、きちんと伝える努力をせずに暖眛な表現をしても、相手が気持ちや意図を察する、いわゆる「阿吽の呼吸」が成り立つ文化です。 グローバルは経験・知識・価値観・人生観・倫理観、その他宗教や歴史などすべてが異なり、コミュニケーションの基盤に共通のコン

世界基準のリーダーに必須となる3つのリーダーシップスキル

1.パフォーマンス・マネジメント多様な人材が一緒に働くには、グローバル全体で共通化された、そして評価や報酬などについて透明性のある仕組みが必要になります。日本国内と海外のルール・運用を別にすると、ガラパゴス基準とグローバル基準が存在することになり、運用は複雑になり、非効率です。グローバル化の前提は、人材管理システムをグローバル共通にすること、そしてできるだけシンプルにすることです。  こういった背景を踏まえ、グローバル共通のパフォーマンス・マネジメントを導入・検討する日本企

日本のリーダーが早期に開発すべきリーダーシップスキル

1.リーダーシップのフレームワーク多くの日本企業は、「ポストが人を育てる」という考え方で、経験を積ませながらリーダー育成をしてきました。VUCA時代、ビジネスが変わっていくスピードは速く、またリーダーが習得しなくてはならないリーダーシップスキルもこれまでとは違います。リーダー人材の育成を戦略的かつ体系的に取り組まなくては、育成スピードがビジネスのスピードに追いつきません。  これまでの育成方法は、既存ビジネスの遂行に長けている従来型のリーダーは量産できますが、企業がこれから

アジアから見た日系企業の課題~悪平等を打破せよ!業績評価と賃金格差で高まる生産性

1.「平等」ではなく「フェア」で 🙋‍♀️伊東 雇用の流動化は職能をベースとした問題とも結びつく話ですね。「日本的経営」は人に優しい、いわゆる人間尊重の考え方がベースになっていました。しかし、これだけ時代が変わっても、雇用の安定性というだけで、組織が給与だけを支払って中高年の経験をうまく活かさないまま、モチベーションを落としてしまっていることが本当に人間尊重なのかは疑問です。外に出ていったほうが活躍できるチャンスがあるならば、それをあと押しすべきではないでしょうか。  🔽🔽

アジアから見た日系企業の課題~日本企業復活の鍵は業績評価制度とリーダーシップの再構築

1.業績を評価する仕組みが必要🙋‍♀️畑 日系企業が立ち直るには、業績を評価する仕組みが必要です。日本では10~20年ほど前に業績主義を入れましたが、うまくいかずにやめてしまいましたよね。そこも、日系企業がグローバルから取り残される潮目だったのではないでしょうか。あのとき業績主義を貫けたら、もしくは、日本流にうまくカスタマイズできていたらと思います。 🔽🔽🔽関連記事の詳細はこちら🔽🔽🔽 🙋‍♀️伊東 制度を導入しても、マネジャーが運用できないのです。あるメーカーが業績主義

アジアから見た日系企業の課題~巨大市場で取り残されるな!日本企業の新たな挑戦

1.中国の景気は悪くない🙋‍♀️伊東 中国に進出した日系企業は、今、かなり厳しい状況に置かれているのですか。  🙋‍♀️畑 まだ市場がよいので、それほどではありません。「中国が危ない」というマスコミの報道がありますが、それは、中国ネガティブ報道ほど日本で受けがよいためであり、脚色されている気がします。この点は、中国に詳しい方々と話しても意見が一致します。  今まで輸出型だった企業が中国の内需向け製品の開発を始めたとか、中国から東南アジア向け製品を開発するようになったとか、

アジアから見た日系企業の課題~日系を脱する

中国が安価な労働力を提供する「世界の工場」から、購買力を備えた巨大市場へと変貌する中、日本企業の中国事業戦略も大きく変化していかなければなりません。その事業戦略の成否を左右するものの一つに人事戦略・人事施策があると考え、中国へ進出する日系企業の支援を行っているのが、株式会社コチコンサルティングです。 同社の総経理を務める畑伴子さんは、20年以上にわたり、中国の成長と中国に進出した日系企業を間近でご覧になってきた、いわば「生き証人」のような方です。 今回の対談では、この20

強いリーダーは強い組織から生まれる

1.必要なことは人材の流動化GEやIBMなどリーダーシップ・パイプラインの各階層にリーダーが豊富にいる企業では、ポジションに就く前の段階からリーダーシップの教育を行っています。もちろん、年次管理ではなく、仕事ができる人材は年次に関係なく、若くてもリーダーに抜擢されていきます。日本企業でも、ハイポテンシャルプールをつくり、民主的アプローチではなく選抜型のリーダー育成の取り組みをしていますが、「人」で勝っているグローバル企業では、平等ではなく、フェアネス(公正)が担保されています