ひとり日帰り温泉旅と原稿合宿ごっこの合わせ技をしてきた話
心置きなく一人時間を満喫してリフレッシュしたい!!!!!!!あわよくば、原稿合宿ごっこしたい!!!!!
そう思ったので、職場の共有スケジュール表に「終日休」と入力し、家から比較的近い温泉旅館の「日帰りプラン」を予約した。この時点で既に、自分の中のストレスの3割は解消された気がする。楽しみがあるってだいじ。
結論から言って、「ひとり日帰り温泉旅」は最高によかった。仕事のことも家のこともひとまずは頭から追い出して、自分だけの時間を過ごせる有意義なひとときだった。
でっぱつ
朝、いつもの出勤と同じ時間に家を出て、いつもとは反対方向に向かう電車に乗る。それだけでもうワクワクした。街の方に向かう満員電車(いつも自分も押し込まれているやつ)を横目に見ながら、郊外へと向かう空いた電車に乗り、車窓を楽しみながら目的地へ向かった。
今回、私が訪れたのは大阪南部にある河内長野市。南大阪の民である私にとっては馴染みのある市だけど、ゆっくりと訪れるのは初めてだったかもしれない。温泉宿に向かう前に、せっかく来たのだしと、紅葉を愛でに行くことにした。
紅葉の名所、薬樹山延命寺へ
自分が予約した温泉宿の近くに紅葉の名所があるとのことで、まずはそちらに行ってみることに。グーグル先生に教えてもらった行き方に従ったところ、バス停から30分間、誰にも遭遇しない山道を歩くことになった。小雨の中、自身の息遣いと雫の音だけが響く静寂はとても心地よかった。
雨に濡れた道をひたすらに歩いていると、坂の上に石畳と山門が見えてきた。
延命寺の境内にはお地蔵様があちこちに並んでいた。朝早いためか誰もいなくて、お地蔵様たちと私だけの空間。信心深い方ではないけれど、なんだか恐れ多いような守ってもらえているような不思議な心地で境内を歩き回った。
境内から山手の方には公園が広がっていて、ちょっとしたハイキングコースが楽しめた。中には舗装されていない山道もあり、ニットのワンピースを着ていったことを若干後悔したけれど、厚底スニーカーががんばってくれたおかげで身体的ダメージはさほど感じず。めいっぱいマイナスイオンを浴びてきた。
老舗温泉旅館、南天苑へ
気の済むまで歩き回った後は、老舗温泉旅館の南天苑さんへ。前々から行ってみたかったんだ。
落ち着いた内装ととても丁寧なおもてなしに、玄関先のところで既に「来てよかったー!!」ってなった。
今回私が予約した「日帰りプラン」の内容は以下のとおり。
・利用時間:11時30分〜14時00分
・プラン内容:上記時間内のお部屋の利用
温泉の利用(※)
懐石料理
・金額:8,800円(税込)
※温泉は11時30分〜22時00分の好きな時間に利用可能。
利用開始時間より結構早めに到着してしまったのだけど、ロビーのふかふかソファで待たせていただけて、ウェルカムスイーツまでいただいた。
私が案内されたお部屋は、こんな感じ。
文豪ごっこができそう!!!
ここで14時まで好きに過ごしていいんですか!!!
ちなみにお部屋の名前も色々あって、「六歌仙」のお部屋いいなぁ……と思ったりなどした。僕は文系だからね。
お部屋に入ったら、お風呂かお食事どちらを先にするか選ばせてもらった。私はたくさん歩いて小雨も浴びた後だったので、お風呂を先にいただくことに。なお、お食事は遅くても12時になったら提供開始らしいので、あまりのんびりお風呂に浸かるのはご迷惑になるから要注意。
お風呂は1種類だけであまり大きくはなかったけれど、全面ガラス張りの外窓の向こう側には、形・色味ともにとても美しい紅葉のグラデーションが広がっていた。お湯に浸かりながら、頭をからっぽにして外の紅葉を眺める……最の高すぎた。
のんびりお食事タイム
お風呂から戻ってきてしばらくしたら、お料理が運ばれてきた。
写真はお料理の一部。一品食べ終わる頃合いで次のお料理が運ばれてくるので、どれも温かい状態のままいただくことができた。魚や地元の野菜を使ったものが多く、味付けも食材本来の甘さなどを引き立たせるように優しくて、胃袋に沁みた。
次のお料理が出てくるのを待っている間も、スマホを触ることはせず、ただひたすらにぼーっとして、時には窓の外を流れる雲を眺めていた。のんびりお食事をいただき、お料理の食材に思いを馳せるなどし、そんな感じでたっぷり1時間半かけて贅沢な時間を堪能した。
せっかくなので、原稿合宿ごっこを
最後の30分間は、自分の創作小説のネタを練り練りすることに。原稿合宿ごっこだ!!一人だけど!!
自分はいつも、「本文を書く」作業は通勤中や家事の合間などの隙間時間を活用しているのだけれど、脳内に思い付いたことや設定を整理するいわゆる「ネタ出し」作業は、机に向き合って紙の上に書き出すことを好んでいる。後者の作業が煮詰まると、前者の「本文を書く」作業に進めなくて原稿が滞ることになるため、ネタ出しは結構だいじ。でも家だとなかなか一人で集中することが難しいため、その作業が進まず、よく停滞スパイラルに陥ってしまう。この時も、まさにその状態だった。というわけで、せっかくの「ひとり日帰り温泉旅」の機会を活用することに。
持ってきたPCとブレスト途中の書き散らかしメモを机上に並べて、自作品の世界に没入する。落ち着いた心地よい環境のおかげか、すぐに集中することができた。カフェやファミレスとも違うので、周りの視線を気にすることもなく、好きなだけ自分の作業に注力できる。
頭の中がどんどん整理されて、それを紙面に出力していく作業はとても気持ちよかった。おかげさまで、ずっと自分の中でモヤモヤと引っかかっていた設定を固めることができた。小さな一歩、だけれども本文執筆につながる大きな進捗。
さいごに
「ひとり日帰り温泉旅」は、自分にとって非常によい気分転換になった。思考に追われてばかりの日常なので、何も考えずにぼんやりとすることができたのは大きかった。南天苑のスタッフさんも皆さんとても優しく、あたたかいおもてなしをたくさんしていただけたので、こちらが自分で考えて動くことが最小限で済んだ。そのおかげで、自分は「ゆっくりする」ことに集中できてありがたかった。
何かが劇的に変わったわけでもなく、作品が書き上がったわけでもないけれど、それでも、いざとなれば自分にはこういうストレス解消手段があるんだ、と選択肢を増やすことができたのはよかった。
きっと、またやると思う。
余談
南天苑さんのホームページからは1名分の日帰りプランが予約できなかったので電話で尋ねてみると、「その日なら予約可能です」と回答いただいた。日によって異なるそうなので、もし単独日帰り温泉キメたい人がいたら、事前にお電話にてご確認くださいませ。また、鍋物のお料理は2名以上の予約で対応いただけるとのこと。