私たちは毎日スマートな痛みを体験している!
「スマートな悪」という本で戸谷洋志さんがスマートさの本質は痛みであるという指摘があり、鋭いと思いました。
人間が強い痛みを感じるとき、その痛みだけが意識を支配し、他のことが全く目に入らなくなります。例えば、激しい歯痛に襲われると、仕事も趣味も、家族との会話も、美味しい食事も、すべてが背景に追いやられてしまいます。痛みだけが存在する狭い世界に閉じ込められるのです。
現代社会で私たちが使用している「スマート」な機器、特にスマートフォンも、実は同じような作用を私たちに及ぼしています。スマートフォンの小さな画面の中に、情報もコミュニケーションも娯楽も買い物も、あらゆる機能が詰め込まれています。便利である反面、私たちはその小さな画面に意識を吸い込まれ、周りの世界から切り離されてしまいます。電車の中で多くの人がスマートフォンに没頭し、車窓の景色や周りの人々に気付かないような光景は、まさにこの現象を表しています。
著者は、この「痛み」によって他のものが見えなくなる状態と、「スマート」な機器によって現実世界から意識が切り離される状態が、本質的に同じだと指摘しているのです。
私事ではありますが、ヨーロッパでバレーをしている娘が一時帰国した際の体験が、この考えを裏付けるものでした。娘との直接的なコミュニケーションには、予期せぬ会話の展開や、表情やしぐさから生まれる微妙なニュアンス、空気感の共有など、スマートフォンやオンラインでは決して得られない豊かさがありました。
これは、私たちに重要な気づきを与えてくれます。確かにスマートフォンは便利で、効率的なツールです。しかし、その便利さに囚われすぎると、人生の豊かさや多様な体験の機会を逃してしまう可能性があります。スマートフォンの画面の外には、予測不可能で驚きに満ちた広大な世界が広がっているのです。
この視点は、私たちにテクノロジーとの付き合い方を考え直すきっかけを与えてくれます。スマートな機器に支配されるのではなく、それらを適切に活用しながら、現実世界の豊かな体験とのバランスを取っていく必要があるのではないでしょうか。
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