見出し画像

人って理屈じゃ動かないね

小学校の教師として日々子供たちと接していると、人間の行動が必ずしも論理や理屈だけでは説明できないことに気づかされます。例えば、廊下を走ると危険だということは、誰もが理解できる単純な道理です。しかし、子供たちは理解していても、必ずしもその通りには行動しません。

この「理屈と行動の不一致」は、実は大人の日常生活でもよく見られる現象です。例えば、スーパーのセールで「買うつもりはなかったのに」「そんなにたくさん必要ないのに」と分かっていながら、ついつい商品を買い込んでしまう経験は誰にでもあるのではないでしょうか。これも、論理的な判断よりも「お得に感じる」「今買わないと損をする気がする」といった感情が先立ってしまう典型的な例と言えます。

なぜ私たちはこのように行動してしまうのでしょうか?その鍵は、人間の「欲望」「関心」「目的」にあると考えています。これは現象学という哲学の考え方とも通じています。人間が物事を認識するとき、そこには必ず何らかの欲望や目的が関係しているというのです。

例えば、友だちと楽しく遊んでいる最中の子どもにとって、廊下は単なる「通路」ではなく、「友だちとの楽しい遊び場」として認識されているのかもしれません。同じように、セール中の商品は、必要性や予算の観点からではなく、「見逃せないチャンス」や「特別な機会」として認識されることで、私たちの購買行動を促してしまうのです。

このように考えると、人間の行動を理解し、適切に導くためには、単に「〜してはいけない」「〜すべきだ」という規則や理屈を説明するだけでは不十分です。その人が何を求め、何に関心があり、どんな目的を持っているのかを理解することが重要です。そして、自分の行動が結果としてどのような影響をもたらすのかを、実感を持って理解できるよう導いていく必要があるのです。

まるで、同じ景色でも見る人によって違って見えるように、同じ状況でも、それぞれの人の心の中では異なる意味を持っているのかもしれません。教育者の役割は、その多様な視点を理解しながら、人々が自分にとって本当に大切なことを見極められるよう支援することなのではないでしょうか。​​​​​​​​​​​​​​​​


#現象学 #人間心理 #衝動買い #教育 #子どもの行動 #理性と感情 #行動原理 #人間観察 #学校教育 #セール心理 #自己理解 #人間本質 #教育観察 #心理分析 #行動分析

いいなと思ったら応援しよう!