裸眼思考 - 先入観を外して世界を見る - 荒木博行著の書評と考察
荒木博行氏の著書「裸眼思考」は、私たちの思考の在り方に新しい視点を投げかけています。本書で提唱される「裸眼思考」とは、既存の知識や目的意識によって制限されない、あるがままの観察と理解を重視する思考法です。
従来の「レンズ思考」(知識や目的に基づいた合理的判断)と対比される本アプローチの特徴は、以下の3段階にまとめられます:
1. 観察段階:知識や目的を一時的に脇に置き、五感を使って状況を把握
2. 保留段階:即断を避け、疑問や気づきを保持
3. 記録段階:観察で得られた気づきを記録し、後の判断材料として活用
この手法が特に重要視されるのは、現代の急速な変化に対応するためです。固定観念に縛られすぎると、状況の本質を見失い、適切な問題解決ができなくなるためです。
現象学では、私たちの認識が常に欲望や関心や目的によって影響を受けることを指摘しています。したがって、完全に目的や欲望や関心から離れることは、原理的に不可能です。しかし、既存の枠組みから一時的•部分的に解放されることで、新たな視点が得られる可能性があります。
具体的な実践として、著者は五感の活用を重視しています。例えば:
- 頭では理解していても体が感じる違和感
- 説明できないモヤモヤした感覚
- 身体的な緊張や違和感
これらの感覚は、論理的思考では捉えきれない情報を含んでいる可能性があります。
この考え方は、デヴィッド・フォスター・ウォレスのハーバード大学での講演「This is Water」のメッセージとも通じるものがあります。魚が水を意識しないように、私たちも自分の思考の枠組みを意識せずに生きています。しかし、その枠組みを意識的に見つめ直し、一旦保留し、五感を感じてみることによって、新たな世界観や可能性が開けるかもしれません。
このように「裸眼思考」は、単なる観察法ではなく、世界と自己を捉え直すための重要な視点を提供してくれます。
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【参考資料】
追伸:
裸眼思考と現象学の対比表
裸眼思考と禅の初心との対比表
頻出語句トップ15