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スクールソーシャルワーカーにしっかりとした予算を!

こんにちは。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。今日は、スクールソーシャルワーカーについてお話をさせてください。今現在、大学院で学んでいることをまとめました。

都市伝説?スクールソーシャルワーカーってどんな人?

スクールソーシャルワーカーの仕事について

学校には、様々な問題を抱えている子ども・家庭がいます。
江別市の出している例を見てみましょう。

北海道江別市「スクールソーシャルワーカー」より

友だち関係、虐待、不適応、いじめ、不登校、暴力・・・
これらのことを学校教員だけで解決できるでしょうか
場合によっては、他の機関や専門職が入った方が解決につながるケースもたくさんあります。
基本的に、学校教員は教育のプロであり、他職種との連携や支援環境の構築に関しては素人であることが多いです。

そんな時の頼れる専門家として、スクールソーシャルワーカーがいます。
スクールソーシャルワーカー、聞きなれない方も多いと思うので、説明をしますと、

沖縄タイムス「沖縄のスクールソーシャルワーカー、有資格者が2割の理由は」より

スクールソーシャルワーカーとは、問題を抱える児童・生徒を取り巻く環境へ働きかけたり、関係機関等との連携・調整を行ったりする人を指します。
スクールソーシャルワーカーに該当する人物例
・社会福祉士や精神保健福祉士等の資格
・教育と福祉の両面に関して専門的な知識・技術を有する人
・過去に教育や福祉の分野において活動経験の実績等がある人

日本教育新聞「スクールソーシャルワーカー(SSW)とは」より

このように、学校で起きる問題に対して、福祉領域から支えてくれる専門職のことです。

スクールソーシャルワーカー活用で、こうなった!

スクールソーシャルワーカーの活用に関して、プログラムエバリュエーション(評価)をされている山野則子先生という大阪公立大学の教授がいます。その方が、「学齢期における子どもの課題スクリーニングの可能性 チーム学校を機能させるツールとして」という論文の中で次の表を提示しています。

スクールカウンセラーと合算の数値ではありますが、

  • 友人関係

  • 諸費

  • 健康

  • 遅刻・早退

  • 授業中の様子

において、かなり高い頻度で好転していることが分かります。
そして、これらの項目は、学校教員としても救いの手が欲しい項目ではないでしょうか?

出会ったことが少ない?スクールソーシャルワーカー

ただ、このスクールソーシャルワーカー、出会ったことが無い人が多いのではないでしょうか。私自身、特別支援教育コーディネーターという立場でありながらも、

スクールソーシャルワーカーという人が存在しているらしい。
でも、出会ったことは、まだ無い・・・

という状態で、まさに”都市伝説”のような状態でした。
でも、これには理由があったんです。

スクールソーシャルワーカー、なぜ会えないのか問題

学校に”いられない”スクールソーシャルワーカー~ほとんど派遣型問題~

スクールソーシャルワーカーの配置体制には、大きく分けて4つあります。

  • 単独校型:一つの学校に配置され、基本的に当該学校のみを担当する

  • 拠点校型:特定の学校を拠点に、複数の学校を担当する。

  • 派遣型:教育委員会等に配置された上で、必要に応じて学校等に派遣される。

  • 巡回型:教育委員会等に配置された上で、域内の学校を巡回する。

配置の仕方は、各自治体の教育委員会が決定するのですが、ほとんどの自治体が”派遣型””巡回型”の方式を採用しています。(根拠は下記リンク参照)

つまり、学校長が

困った事例があるので、スクールソーシャルワーカーを派遣してください!

と派遣依頼を出さなくては、スクールソーシャルワーカーは学校に来ることができないのです。
つまり、スクールソーシャルワーカーは”学校にずっといる”ということができない制度になっているのです。

財源はスクールカウンセラーと同じ

それでは、なぜ自治体は”派遣型”を選ぶのでしょうか。
ずっと学校にいる”単独校型”を選べば、一番活用できるのは明白です。
それには、財源の問題がありました。

総務省「学校における専門スタッフ等の活用に関する調査 結果報告書」

この通り、国庫補助事業という財政処置によって賄われていることが分かります。これらのお金はスクールカウンセラーと合算で地方自治体に送られます。地方自治体がスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーに自由に割り振りができるということです。
そして、平成13年度から活動しており、市民権を得ているスクールカウンセラーに多くを割くケースが多いのが現状と言えるでしょう。
そのため、地域によってはスクールソーシャルワーカーを有償ボランティアとして配置しているところもあるほど、財源が不安定な状態で運営されています。
その結果、”派遣型”というコストを最大限抑えた形での配置となるのです。

”アウトリーチ”をするには、”派遣型”で良いのだろうか?

福祉の言葉に、アウトリーチという言葉があります。これは、

本当に困っている人は、”助けてくれ”と自分から名乗り出ない
本当に困っている人のところに出向いていって、探し出すという社会福祉士の働きのひとつ。

アウトリーチとは

というものです。
今の派遣型、つまり、”学校にいない”状態でアウトリーチは可能でしょうか。難しいでしょう。
SSW経験者が言っていました。

学校は部外者を学校に入れない。だから、アウトリーチは正直難しい

学校の問題を解決するためには、スクールソーシャルワーカーがアウトリーチをできる状況を作る必要があります。
そのためには、”単独校型”・・・少なくとも”巡回型”を充実させる必要があるでしょう。

”対応の限界”問題

そして、なかなか活用されない状況については、学校側にも課題があります。武庫川女子大学短期大学部の半羽利美佳教授は

SSWに相談を持ち掛けるのは学校対応の限界を感じた場合であること

という課題を挙げています。
つまり

  • スクールソーシャルワーカーに依頼する時には事態が重度化しているということ=成功事例の積み重ねが難しい

  • スクールソーシャルワーカーに頼むケースはかなり限定的である事例数自体が少なくなる

という問題があります。

スクールソーシャルワーカーにしっかりとした予算を!

学校がスクールソーシャルワーカーを活用できれば、きっと幸せになる子どもや家庭は多いでしょう。
そして、学校側も、自らの職責以上のことを抱えている負担感を軽減することができるのではないでしょうか。

沖縄タイムス「沖縄のスクールソーシャルワーカー、有資格者が2割の理由は」より

上の図を再び見てください。
今、学校側がすべての機関と連絡調整を行っています
もしもこれらを担ってくれる専門職がいれば、教育者は教育に専念することができるでしょう。
スクールソーシャルワーカーを外部の機関と思っているうちは、”チーム学校”は絵に描いた餅となるでしょう。
スクールソーシャルワーカーに、たしかな予算を!そして、しっかりと働ける環境を整えましょう!
一人一人が声をあげなくてはいけない問題だと、私は考えています。
では、またね~!


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