マスク指導で思うこと~感覚過敏のある子への指導から考えること~
日本海側の大雪に、私の住んでいる地域も巻き込まれておりまして、一日のほとんどを除雪に費やしました。昼寝をしたら少し回復したMr.チキンです。
今日は、マスク指導についてのお話です。
マスク指導が始まった。
約2年前から、教育現場で感染症対策が始まりました。
マスクを付ける生活が始まったのです。
子どもたちは比較的順応していたかのように見えます。
「なんでマスクつけるのさ。痒くなるよ。」などと愚痴をこぼすことはありましたが、
「ありがとうね。今は病気を予防することがお医者さんや看護師さんを助けることになるんだよ。」と、できるだけ意義を伝えながら励ました。
そんなときです。
マスクがイヤだと暴れるAくん
と激しく怒るAくんがいました。普段は寡黙なAくんです。
マスクを引きちぎり、教員に殴りかかるほどでした。
家庭に連絡すると、家でも同じような状態だったということでした。
揺れる教員の心
このAくんの変化に、教員は戸惑いました。
そして、放課後にたくさん話し合いました。
他の子が感染症対策をしている以上、Aくんだけ特別扱いはできないのではないか。
他の子が感染症を怖がっている。A君のマスクを付けない行動が、他の子の不安につながるのではないか。
実際問題、感染症のリスクを高めてしまうのではないか。
という話が出ました。
一方で、
Aくんにマスクを強いることは、二次障害につながるのではないか。
という声も出ました。
教員の間で、意見が分かれ、話し合いが煮詰まりかけました。
若手の先生の質問
その時、初任者の先生が
と言いました。私たちはハッとしました。
そして、Aくんに感覚過敏があることを思い出しました。
感覚過敏とは
感覚過敏という言葉をご存じでしょうか。
ということです。
例えば、セーターの首元のチクチク、感覚過敏のない人でも不快に思いますよね。それが、人によっては「剣山で首を刺されているような感覚」になることがあります。
Aくんがもしもマスクに対して強い不快感をもっていたとしたら、
それに対してマスクを強制することに対して我々はどうすればよいのだろうか。
話し合いを重ねる
そこからさらに担任でたくさん話し合いをしました。
Aくんは特性上自分のことを正確に伝えられません。
担任が仮説を立てて対応を考えていくことになります。
Aくんのこれまで、Aくんの現状、Aくんのこれから。
そして、対策は担任レベルでできるものではないと判断し、
管理職や養護教諭とも話し合いを重ねました。
その結果、
という認識をもち、次の対策で代替することとしました。
Aくんが寡黙であることから、普段のマスクは強制しない
Aくんの座席は離す
換気などの感染症対策をしっかりと施す
接触や会話などの際にはマスクをするよう指導する
手洗い・うがいはしっかりするようAくんに指導する
消毒を適切に行う
などです
保護者と調整を行い、指導方針として固めました。
(個人の情報につながることもあるため、エピソードや対策等も含めてフェイクを入れてありますが、雰囲気はこのような感じです。)
落ち着いたAくん
対策を変えたところ、Aくんは落ち着きました。
それが感覚過敏への対策によるものかは、Aくんは語らないので分かりません。
Aくんの状態が変わったことは確かなことです。
感染症についての対策は公教育の場として行わなくてはいけない一方、
個人の感覚や個人の成長との狭間の中で判断が難しいケースがたくさんあります。
今回の記事が、対応で悩まれている方に届けば幸いです。
終わりに
コロナウイルス感染症対策にはたくさんの考え方があります。なので、今回の記事でMr.チキンが行った指導や考え方を危険視される方もいるかもしれません。その際はコメント欄でお伝えいただけるとありがたいです。あくまでもMr.チキンの考え方で、教育関係者全員が同じ考え方であるというわけではありませんのでご注意ください。
新型コロナウイルス感染症により、治療・療養されている方の早期回復をお祈りしております。