特別支援学級教員が吃音指導を考える
こんにちは。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。
今日は、吃音指導について特別支援学級教員が考えることをお話をしたいと思います。
吃音ってなに?
さっそくですが、吃音とは何でしょうか。
上記のような症状が日常的に表れることを指します。
周囲の無理解や、からかい行動などにより、コミュニケーションに自信がもてなくなることが多くあります。そのため、上記の三つの症状から派生した「置換(本当に言いたい言葉ではなく、言いやすい言葉に置き換えてしゃべる)」などの症状も内包しています。
有名な方では、アナウンサーの小倉智昭さんが吃音であることを公表しています。彼の場合はマイクを前にすると吃音が改善するそうです。(独自の練習もしたそうです。)
今回は、吃音症状のある子どもが教室にいた場合に、どのような支援ができるのかを考えていきます。
【大前提】安心して話せる環境を作る
茨城大学の石田先生によると、吃音のある子どもは、幼稚園時期から自身の発話に違和を覚えることが多いそうです。つまり、小学校に上がった早い段階でサポートを要していることが多くあります。
近隣校にことばの教室があった場合は、可能な限り連携を取りながらサポート体制を作ることが望ましいです。
大前提として大事なことは、
ということを教員が態度で示すことです。そのことにより、他の子たちも真似をします。学級の雰囲気づくりが大切です。
その上で、いくつかの支援方法があるのでご紹介します。
斉読法で安心感をもたせる
こちらの記事で「引っ張り読み」「ディレイ読み」「そばにいるよ読み」などと名付けていた指導法ですが、調べてみると斉読法と呼ばれる支援技法のひとつだったようです。
斉読法は、吃音の指導にも効果的です。
このようなメカニズムによって、不安を軽減しながら発生できるように支援していきます。
音読は群読がおススメ
吃音の多くは、第一音の発声に難しさを抱えることが多いです。ですので、そこを解消させる音読方法は有効です。特に、群読(みんなで声をそろえて読む)の活動は、吃音のもつ発話の難しさをカバーすることができるため、おススメの学習活動です。
すべてを群読にすることは難しいですが、そのことにより救われる人もいるかもしれないことを、教員が把握しているのは大切なことでしょう。
歌に乗せると話しやすい
また、歌に乗せながら読むということも工夫の一つです。
落語家の桂文福さんは吃音のある方です。若いころ、五代目桂文枝から
と言われたことから一念発起。
ということに気付き、歌に乗せながらの落語の第一人者となりました。
吃音の療法の一つとして、メトロノームなどのリズムに合わせて読むということがあるため、かなり理にかなった代替法と言えるでしょう。
九九の歌など、歌に乗せて覚える指導法は教育の中にたくさんあります。活用できるのではないでしょうか。
遅延聴覚フィードバック(DAF)
学校で行うことは難しいですが、吃音の治療法として、遅延聴覚フィードバック(DAF)と呼ばれるものがあります。マイクに向かってしゃべるのですが、少し遅れてヘッドフォンから自分の声が聞こえてきます。
この少し遅れて耳から情報が入ることで、吃音を気にせずにスムーズに話せることが多くなるようです。吃音というのは聴覚のフィードバックに課題があると言われています。このDAF療法は、その課題にアプローチした療法と言えるでしょう。また、このDAFには治療後も効果が持続する割合が高いことが分かっています。もしも吃音で悩まれている方がいらっしゃったら、体験をしてみることも良いかもしれません。
石田修先生の紹介
昨年度から茨城大学教育学部助教に就任された石田修先生は、特別支援学校やことばの教室で教諭をされてきた経験等を生かした研究をされています。
吃音で悩まれている方や、吃音のある方を指導する上でしっかりとした支援を考えたい方は、石田先生の論文や講演などをチェックすることをおススメします。
では、またね~!