評価を生かして自己肯定感を上げる【保護者の方へ】
こんにちは。3学期に来る通知表の季節を考えると
つらい気持ちになるMr.チキンです。
今回は保護者に知っていてほしい「評価のこと」についてです。
教員の行っている評価。正しく知って子どもにフィードバックすることで、
その効果は100倍にも1000倍にもなるはずです!
なかなか学習に気持ちが向かない・・・とか
子どもの自己肯定感が低くて・・・とか
悩んでいる保護者の方は、ぜひ、
通知表の評価って何?
「大変良くできました」「良くできました」「もう少し」
「1・2・3・4・5」
「A~C評定」
なんて言葉を聞いたことありますよね。
もう少し専門的な表現でいくと、「絶対評価・相対評価」なんて言葉もありますね。
すべて、学校が行う評価の言葉です。
学校は「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう人間性」という3観点(学習指導要領改定前は4観点)で評価します。
そして、それぞれを3段階や5段階で通知表に評価することが多いです。
こういう評価のことを学校の言葉で観点別評価と言います。
テストの点数やノートの記述、授業中の発言や提出物などを基に評価します。
優しさや思いやりは観点別評価にマッチしない
でも、ちょっと待って!!
「この子は友達にとても優しくしていて、教室の笑顔の中心にはいつもこの子がいたな。」
「あの時の困っていたおじいさんを思いやっている姿勢、評価したいな。」
これらは観点別評価に入るのでしょうか。
実は文科省は今回の学習指導要領改定の際に、
という方針を打ち立てています。
道徳の教科化の時によく話題になったのですが、
戦前の神道中心による教育が戦争を推し進めた反省を基に、
科学的に評価できない部分については観点別評価のうちに入れられない
という伝統があるようです。
つまり、感性や思いやりといったものは総合所見というもので評価をしていくのですが、
総合所見ってこの通知表の右下の端です!
このマスの字数で子どものこと語れますか!!
教育者として、「優しい」とか、「思いやりがある」とか、評価したいところですよ!
だって、社会に出たらすっごく大事じゃないですか、優しさや思いやり。
特別支援学級の通知表はもう少し枠が大きいですが、たかが知れています。
通知表で評価できるのは、その子の一部分だけなんです!
じゃぁ、どうやって評価する?
ここが一番語りたい!保護者の方に、ものすっごく知ってほしいこと。
通知表だけが評価じゃないってこと!
本当にたくさんの評価を、教員はしています。
①ノートやプリントへのコメントでの評価
これ、かなり大変なのに、なんでやるのか。
これはただ、Twitterみたいな気持ちで担任がつぶやいているんじゃないんです。大事な評価なのです。
特に、日記などにコメントする時は、「あの時の声のかけ方が優しかったね。」「福祉体験の時の思いやりある声のかけ方は、普段お家でおじいさんと過ごす時にかけている言葉が自然と出たのかな。」など、観点別評価では評価しきれないことを意識しています。
②授業中に友だち同士で褒め合う評価
道徳の授業中などに、友達と意見を交換する場面があります。教員によっては、教室内を歩かせて、友達と直接話をさせることもあります。あれは、単に集中を切らさないための工夫ではありません。友達と話をしていく中で、自分の意見が取り入れられたことを自分で評価できるようにする。他者の中で自分の意見はどのような位置にあるのかということを自己評価する。そんな場面設定でもあります。
④本人へ直接伝える評価
「よくやったな。見てたよ。今のがんばり、先生だけじゃなくてクラスのみんなも見てた見てた。」「今の君が言った一言で、友達の表情が明るくなったの気付いた?」など、教師の言葉は即効性の高い評価です。やりすぎると教師のウケの良さそうなことしかしなくなるので、教員は気を付けながら褒めています。
⑤本人が自分で行う評価
学級によっては、学習ごと、もしくは単元(「かけ算」とか「大造じいさんとがん」とかのような学習のまとまりのこと)ごとに自己評価を行います。文章にして残すことで、自分が何を学んだのかを自分で評価するのが目的です。
⑥連絡帳での評価
特に特別支援学級の教員は、連絡帳にびっしり書きます。日によっては連絡帳2ページを超えることも。これはほとんど給食時間に給食指導をしながら書いています。授業中には書けないですからね。子どもたちの優しさや思いやり、感性の豊かさなどは連絡帳に記して、保護者の方とできるだけ共有したいと考えて行っています。軽視される方もいますが、これも大事な評価の一つです。
⑦電話でお伝えする評価
学校から電話がかかってくると、「何かうちの子がやらかしたんじゃないか
」と心配される方が多いのですが、実はこの電話でお伝えすることも評価です。私は特に意識して、こまめに電話し、10のうち9は良かったことを伝えることにしています。頑張ったことは声で伝えたいのです。だって、大切な評価の一つですから。
⑧その他
良い教師は評価上手です。私の知らないテクニックを用いて評価していることもあると思います。例えば、私は保護者に公開はしませんが、毎日ノートに子どもの成長や課題を記帳しています。評価していったものを指導に活かしたいと考えているからです。
教員が行った評価を、保護者は生かしてますか?
これだけ行っている教員の評価、どれだけ生かせていますか?
まさか、通知表のときだけ、「大変良いが多いわね!今日はお寿司よ!」なんてやってませんか?通知表は、教員の行う評価のごくごくごくごく一部です。その評価にはお子さんの大事なパーソナリティに関することは少ししか書かれていません。通知表に書かれている評価だけを子どもにフィードバックしていると、「僕の頑張りを見てくれていない・・・」「私には良いところが無いのだろうか・・・」と自己肯定感が下がってしまう子も多いと思います。それは通知表に書かれている評価がその子の一部だけだからです。
大事なのは、評価のパスをシュートに繋げること
連絡帳に、「昨日先生が電話で教えてくれたこと、息子に伝えました!すっごく喜んでいて、『明日も頑張る!』って言ってました。ありがとうございます。」というコメントをくれる保護者の方がいます。こういうコメントを見た時、「あ、評価のパスが繋がったな。」と感じます。
個別懇談で、「先生が言ってた『友達に思いやる姿が育ってきている』っていうこと、よく見るようにしてみたんです。そしたら、たしかに最近妹にすっごく優しくなっていて。そういう観点でみると、この子を褒められることがすごく増えた気がします。」なんていう意見をいただくこともあります。そんな時、私は、「お母さん!ナイスシュート!」って心の中で叫んでいます。
そうです。それこそが学校が行う評価を効果的に使うということなんですよ!!
大人は子どもに喜んでもらおうと、色々なことをする。子どもは・・・
私の大好きな先生に、茨城大学の准教授、長谷川幸介先生という方がいます。その方が言っていた言葉の中で心に残っているのが、
という言葉です。
子どもは大人に褒めてもらいたい。認めてもらいたい。と
ずーっと思っています。だから頑張れるんです。
教員の発する「本当の評価」にアンテナを張って、
たくさんお子さんを褒めてあげて欲しいなと思います。
では、またね~。