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自立って何だろう~特別支援教育の視点から~
こんにちは。Mr.チキンです。今日は息子の5歳の誕生日でした。かなりできることが増えてきて、5年前の今日、何もできなかった時のことを思い出しました。もちろん、何もできなかったのは息子も、そして私達”親”もです。5年間を思い、親子としての成長を感じた1日でした。
さて、今日はそんな日にちなんで、”自立”についてお話します。
自立とは、全て自分でできるようになることなのか?
そんなこと無いですよ!っていうお話です。
特別支援学級と自立
私は特別支援学校と特別支援学級合わせて12年目です。
特別支援教育には自立活動という指導があります。
それでは、自立活動とはどのようなものなのかを見てみましょう。
自立活動の指導は,個々の幼児児童生徒が自立を目指し,障害による学習
上又は生活上の困難を主体的に改善・克服しようとする取組を促す教育活動
であり,個々の幼児児童生徒の障害の状態や発達の段階等に即して指導を行
うことが基本である。
個々の幼児児童生徒が自立を目指すというのが自立活動の目的です。
え?じゃぁ、自立って何?
インターネットで調べてみます。
1 他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること。「精神的に自立する」
2 支えるものがなく、そのものだけで立っていること。
なるほど。他からの支配や助力を受けずに、存在することですね。私の知っている、特別支援教育的な自立とは少し違います。
きっとこのように自立というものを狭く捉えると、教員も子どももとっても辛くなるのではないでしょうか。
一般的に言われている4種類の自立
一般的に、自立というのは4種類あると言われています。
身体的自立:立って歩いたり、物を掴んだり離したり、基礎的な動作をすることができる
身辺自立:排泄や着替えなど、身の回りのことが自分でできる。
経済的自立(職業的自立):経済的に養育者から離れて、自分で生活することができる。
精神的自立:自分で考えて選択したり行動したりすることができる。
ただ、私は大学で、もう一つの自立について学びました。
それは依存的自立です。自立しているのに依存している?先程の自立の意味と照らし合わせると、なにやら矛盾した不思議な言葉ですね。
自分で意思決定することこそが、本当の自立なんだ~こんな夜更けにバナナかよから考えてみる~
依存的自立とは、その名の通り、「自立するために、他者の力を借りること」です。
例えば、筋ジストロフィー症により身体的な動作に不自由のある人が、
現代の医学で完全な身体的自立を成すことは難しいと言われています。
では、筋ジストロフィー症のある人は自立することは不可能なのでしょうか。
まさに、こんな夜更けにバナナかよというのは、依存的自立をテーマにした小説だと思います。
筋ジストロフィー症のある青年が、自分の行動選択や意思決定を他者に依存しながら行っていきます。
読んでいない人は是非読んでいただきたいです。感じるはずです。この青年は自分よりも自立している・・・!と。
自分で意思決定をしながら生きていくということ、それこそ究極の自立だと言えるのでは無いでしょうか。
依存的自立をさらに深く知りたい方はこちら
調べてみると、こちらのサイトにとても詳しく書かれていました。
東京大学先端科学技術研究センター准教授、熊谷晋一朗氏。「自立とは、依存先を増やすこと。」と述べている。「自立を支えているものは依存する、物や人、場がたくさんあること」としている。この考え方こそが、「依存的自立である」
「自立とは、依存先を増やすこと。」とても共感できる一言です。
自分だけで何かをするということに支援者がこだわってしまうと、
この観点を見失ってしまうのです。
場面性緘黙のあるDくん
私の出会ったことのある少年に、Dくんがいます。
その子は場面性緘黙の有る少年でした。
結局、その子は小学生のうちは学校内でほとんど話をしませんでしたが、
周りの大人を通して、「自分はこの進路で生きたい」ということを決定しました。
彼自身は喋りませんでしたが、他者に依存しながら自分の人生の選択をしたのです。
私は一人の自立した人間として、彼を今でも尊敬しています。
まとめ
自立とは何か。
もちろん「身体」「身辺」「経済(職業)」「精神」いずれの自立も必要です。大切な考え方であることに間違いはありません。
ただ、その先に有る子どもの生活や子どもの意思が大切だということです。
できないこと・難しいことは他人にお願いするということを教えていくことも大切ですよね。
私達だって、自給自足では暮らしていません。
農家の方に、スーパーの方に、飲食店の方に、行政職の方に、コピーライターの方に、工場勤務の方に・・・・・・たくさんの人やサービスに依存しながら自立した生活を送っているのです。
ひょっとすると「他者に依存してまで成し遂げたい何か」に本人が気付くためのお手伝いをするのが、教育の大切な仕事なのかもしれない。
そう思うMr.チキンでした。
では、またね~