✓ホテル・ピーベリー
▽あらすじ
ハワイ島にあるホテルピー・ベリーは
「リピーターお断り」の小さなホテル。
5人の日本旅行者が滞在していたが、
客の一人がプールで溺死、
やがてもう一人…
このホテルの客は
みんな嘘をついている――
▽印象に残ったフレーズ
孤独はいつも、ひどく優しい。
特にぼくのように、
自分に嫌気が差した人間には。
冴えた頭で、
この半年起きた出来事を
思い返してみようかと考えてみたが、
やはりやめた。
首でも吊りたくなったら
元も子もない。
彼女が結婚前に
いきなり姿を消したことも、
彼には彼女のわがままとしか
見えていない。
たとえそれがわがままだとしても、
たぶん桑島さんは考えてほしいと思っている。
なぜ、自分がそんなことをしたのか。
▽感想
全員が嘘をついていた。
しかも重めの嘘ばかり。
桑島さんと彼氏さんの
ひと悶着のシーンは
桑島さんに共感した。
なぜ仕事も働く場所も
我慢しなければいけないのか。
今は女も男もほぼ同等に
稼げるのに我慢することなんて
何もないじゃないかって。
でも桑島さんも黙って出ていくんじゃなくて
口で言わなくちゃいけないなあとは
思ったなあ。
ミステリを交えた
宿泊客の嘘が
現代に広がる男女の格差や
うつ病や、性犯罪や
そんな問題に直面している人たちの
心情が知れるお話だったな。
ハワイの良い所や
観光名所がしっかり描かれていて
ハワイに行ってみたいなあと
思わせるお話でもった！
身構えるほどのミステリでは
なかったかも。
ホテル・ピーベリー／近藤史恵／双葉文庫
↳試し読みもありますので、ぜひ