【短歌エッセイ】春はカーブを打つように
みなさんはカーブって見たことあります?
一般的にカーブは、斜め下に曲がりながら落ちる軌道を描く変化球を指す。
でも、本当にすごいカーブって、投げた瞬間、浮き上がってくるんです。まるですっぽ抜けたかのように。
すると構えている私は文字通り、浮き足立ってしまうんです。足が浮くと、視線が動く。
人間は動いているものを捉える際、自分が静止していた方が、動いている時より圧倒的に物体を捉えやすくなるんだそうで。
春。
バタバタして忙しなく、浮き足立ってしまう度、私はあのカーブを思い出す。
つんのめって、頭にボールが当たるんじゃないか、これは暴投だ!と思ってしゃがんで避けたら、するりと動いてストライクゾーンに収まる、あのカーブを。
あの驚きと一抹の恥ずかしさを。
春。
私は今も姿勢を崩しているけれど、あの頃よりはカーブを捉えられるようになっているだろうか。
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