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雑記

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#旅する日本語

碧空

碧空

彼は夢見がちな人だった。

宇宙飛行士に憧れていて、彼と話すといつもその話ばかりだった。

「俺はさ、この地平線の彼方までずーっと飛んでいきたいんだ」
そうやって彼が言った時、

「どこででもいいから君のそばにいたい」
そう口から出かかって
「そっか」と言い直した。

昧爽

昧爽

空が白んできた。

山の上だからだろうか、少し肌寒い。

あと少し…あと少し…と懸命に登ってきた。どこまで続くかも、なぜここにいるのかすら知らされぬ山道を。

ここにたどり着くまでどれほどの時が経ったのだろう。とても長かったような気もするし、あっという間だったような気もする。

あー帰りたい。

そう本音がこぼれた時、地平線の向こう側から全身を暖かさが包んでいた。

とても、暖かかった。

昧爽の

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