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mou_ciel
2018年7月6日 00:08
彼は夢見がちな人だった。宇宙飛行士に憧れていて、彼と話すといつもその話ばかりだった。「俺はさ、この地平線の彼方までずーっと飛んでいきたいんだ」そうやって彼が言った時、「どこででもいいから君のそばにいたい」そう口から出かかって「そっか」と言い直した。
2018年7月5日 22:09
空が白んできた。山の上だからだろうか、少し肌寒い。あと少し…あと少し…と懸命に登ってきた。どこまで続くかも、なぜここにいるのかすら知らされぬ山道を。ここにたどり着くまでどれほどの時が経ったのだろう。とても長かったような気もするし、あっという間だったような気もする。あー帰りたい。そう本音がこぼれた時、地平線の向こう側から全身を暖かさが包んでいた。とても、暖かかった。昧爽の